一般社団法人の役員変更
一般社団法人の役員等(理事、監事、代表理事、会計監査人など)の任期満了や、辞任、死亡、解任など、役員が退任する場面では、役員の退任登記が必要になります。
また、役員が新たに就任された場合には、その就任の登記をすることになります。
任期が満了する役員について、ふたたび定時社員総会において選任決議を行い、引き続きその役員の地位に留まらせるような場合(これを「重任」といいます)でも、その旨の役員変更登記が必要になります。
次に役員の種類別(理事・監事・会計監査人)に役員変更の登記についてご説明いたします。
理事の変更
理事は、一般社団法人では必ず置かれる機関です。
理事会を設置している一般社団法人(理事会設置法人)は、理事は3人以上必要になります。
したがって、理事会設置法人が理事を3名未満に減らす場合には、理事会設置法人の定めを廃止する登記を、あわせて申請する必要があります。
(理事の退任+理事会設置法人の定めの廃止)
理事の任期は、原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとされています。
ただし、定款又は社員総会の決議により定めることにより、これより短い任期に
することができます。
(逆に任期を長くすることはできません。)
代表理事の任期は、原則として理事の任期が基準となります。
一般社団法人の理事の任期は最大約2年です。したがって、2年ごとに任期が到来しますので、その都度、社員総会で改めて理事を選任したうえで登記申請もすることになります。
混同しやすいものとして株式会社の取締役の任期がございますが、こちらは最大約10年です。
監事の変更
一般社団法人の監事は、原則として、任意機関であり、定款に定めることにより
これを置くことができます。
ただし、理事会設置法人及び会計監査人を設置する法人では、監事を必ず置かなければなりません。
監事の任期は、原則として、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終の定時社員総会の終結の時までとされています。
ただし、定款に定めることにより、これを選任後2年以内に終了する事業年度のうちの最終の定時社員総会の終結の時までとすることを限度として短縮することができます。
監事を新たに置く場合には、定款に別途、監事設置法人である旨の定めを設ける必要があり、監事の就任登記とともに、その旨の登記をすることになります。
(監事の就任+監事設置法人の定めの設置)
監事が退任して不存在(監事の人数がゼロ)になる場合には、監事設置法人の定めの廃止の登記もあわせて申請する必要があります。
(監事の退任+監事設置法人の定めの廃止)
会計監査人の変更
一般社団法人の会計監査人は、原則として任意機関であり、定款に会計監査人設置
法人である旨を定めることによりこれを置くことができます。
(会計監査人の就任+会計監査人設置法人の定めの設置)
ただし、大規模一般社団法人(※)に該当する場合には、会計監査人は必ず置かなければなりません。
この場合でも定款に会計監査人設置法人である旨を定める必要があります。
会計監査人は、公認会計士又は監査法人に限り就任が認められています。
会計監査人の任期は、選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終の定時総会
の終結の時までとされています。
また、任期が満了する定時社員総会において当該会計監査人を再選する決議がされなくても、別段の決議がされなければ、その定時社員総会において再任されたものとみなされます(つまり、自動的に再任されます)。
※大規模一般社団法人とは、最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額が200億円以上の一般社団法人のことをいいます。
登記すべき期間
役員に変更が生じた場合には、2週間以内に管轄の法務局へ役員変更の登記を申請しなければなりません。
つまり、社員総会で役員を選任したときは、その日から2週間以内に登記申請することになります。
もちろん2週間経過した後でも登記申請はできますが、登記すべき期間を超えて申請した場合は、登記懈怠として過料(行政罰)の対象になる場合がありますのご注意ください。
必要書類
- 社員総会議事録
- お客様から司法書士への委任状
場合によっては以下の書類が必要です。
- 役員の就任承諾書
- 定款
- 辞任届(役員辞任の場合)
- 役員の死亡の場合は死亡届、死亡診断書、戸籍謄抄本、死亡通知書など
- 理事会議事録
- 理事の決定書
- 役員個人の印鑑証明書
- 役員個人の本人確認証明書
- 印鑑届書
上記書類のうち、行政庁が発行する書類を除き、各種議事録、委任状など
の文案につきましては司法書士が作成できます。