登記の書面申請とオンライン申請のあれこれ(その4)
「登記の書面申請とオンライン申請のあれこれ」シリーズは、途中で一度休みが入りましたが、今回で4回目。
前回までは、書面申請とオンライン申請の作業的な部分を述べてきました。
今回は、登記の実務では、書面申請とオンライン申請のどちらの方法が実際に使われているのか?という面について書いてみたいと思います。
さて、不動産登記の場合には、一戸建て・マンションといった住宅や、賃貸用のマンションやビル一棟など、規模の大小はいろいろとございますが、高額の不動産取引になることがほとんどです。
そんな事情がありますので、不動産の取引で売買代金を支払った買主は、司法書士に対して速やかに登記を申請するよう求めることになります。
したがって、登記の申請書を郵送して、翌日あるいは翌々日に法務局に受け付けてもらうようなスローな方法は完全にNGです。
オンライン申請でしたら、不動産の取引完了後にパソコンから申請書情報をデータで送信しますので、最もスピーディに登記の受付けを確保できるはずなのですが、こういったケースでは実はオンライン申請はあまり使われていません。
その理由は以下のとおりです。
不動産を購入するとき買主さんはほとんどの場合、銀行などの金融機関からお金を借りて購入することになります。
そのとき金融機関は、融資の対象となる不動産を担保にして融資をしますので、融資と引き換えにその不動産に抵当権という権利を登記することを求めます。(この抵当権という権利を登記することを抵当権設定登記といいます。)
そして金融機関は、抵当権設定登記を司法書士が申請した際には、紙の「受領証」が発行されているかの確認を求めるケースが多いのです。
(「受領証」とは、法務局が登記申請を受付けたことを証明する書類のことです。)
ところが、オンライン申請の場合には紙の「受領証」は発行してもらえません。
あくまでもオンライン申請はデータ送信ですから、法務局が登記申請を受付けたかどうかはパソコンの画面上で確認することになります。
金融機関が紙の「受領証」が発行されたことの確認を求める場合には、オンライン申請という方法は事実上利用できないという事になるんです。
そういうわけで、金融機関からの融資がからむ不動産売買の場合は、取引が行われた「当日中」に「書面申請」で法務局に持ち込むケースがほとんどなのです。
ふーんなるほど。じゃあ、不動産登記ではオンライン申請の出る幕はないのかい?と言われれば、実は必ずしもそうではありません。
オンライン申請に適した内容の不動産登記もございますが、そのくだりについては次回のブログで。