株式会社の本店移転
会社が引っ越しをするなど、本店所在地を移転する場合には、登記簿上の本店の表示を変更する必要があります。
会社の本店が移転した時は、その移転の日から2週間以内に、本店移転登記を法務局に申請しなければなりません。
そこで、会社の本店所在地を移転するご予定がある法人様は、あらかじめ司法書士と本店移転登記についてご相談されることをおすすめいたします。
本店移転登記の注意点
一応の注意点としては、「同一商号・同一本店の禁止」という法律上の禁止事項があります。
これは、本店移転先の住所地に、全く同じ商号の会社が既に存在する場合には、そこには本店移転ができないという事です。
「同一の商号」とは、会社の種類(株式会社、合同会社など)を表す部分を含め、商号全体の表記そのものが一致することをいいます。
一部分が一致するだけでは同一の商号にはなりません。
したがって、ほとんどの場合は「同一商号・同一本店」のケースに該当しません。
少なくとも、弊事務所では該当事例はまだございません。
もちろん弊事務所では本店移転登記のご依頼をいただいた際には、毎回必ず本店移転先の住所地につき、同一商号の会社の存否を調査いたします。
さて、会社の本店移転登記には以下の種類があります。
管轄区域内での本店移転
(例:東京都千代田区→東京都千代田区)
定款で最小行政区画(例:東京都千代田区)まで定めている場合
最小行政区画まで定めている定款の例
(本店)
第○条 当会社は、本店を東京都千代田区に置く。
この場合、取締役会の決議で(取締役会を置かない会社は取締役の決定又は株主総会の決議で)移転日及び移転先を定めます。
ただし、同一の法務局が管轄する区域内での本店移転であっても、最小行政区画(例:東京都千代田区→東京都中央区)の変更をともなう場合は、株主総会の決議が必要になります。
定款で具体的所在場所(例:東京都千代田区岩本町一丁目3番1号)まで定めている場合
具体的所在場所まで定めている定款の例
(本店)
第○条 当会社は、本店を東京都千代田区岩本町一丁目3番1号に置く。
この場合には、たとえお隣りの番地に本店を移転する場合であっても、定款変更が必要になります。
株主総会の決議により定款を変更した上、取締役会(取締役会を置かない会社は取締役の決定)で移転日及び移転先を定めます。
あるいは、取締役会を置かない会社は、具体的な所在場所まで株主総会の決議で定めた場合は、取締役会の決議(取締役の決定)は不要です。
管轄区域外への本店移転
(例:東京都千代田区→東京都港区)
管轄区域外への本店移転とは、現在の会社の本店所在地を管轄する法務局から、他の法務局が管轄する区域へ本店を移転することです。
定款で最小行政区画まで定めている場合、
定款で具体的所在場所まで定めている場合、
いずれの場合も、管轄区域外への本店移転では定款変更をする必要があります。
株主総会の決議により定款を変更した上、取締役会(取締役会を置かない会社は取締役の決定)で移転日及び移転先を定めます。
あるいは、取締役会を置かない会社については、具体的な所在場所まで株主総会の決議で定めた場合は、取締役会の決議(取締役の決定)は不要です。
本店移転登記の必要書類
- 株主総会議事録(定款変更が必要になる場合)
- 株主リスト
- 取締役会議事録(取締役会設置会社)又は取締役の決定書(ない場合)
なお、取締役会を置かない会社は、株主総会の決議で定める事も可能です。 - お客様から司法書士への委任状(会社ご実印の押印が必要です)
- 印鑑届書及び印鑑カード交付申請書(管轄区域外への本店移転の場合)
上記の必要書類はいずれも司法書士が作成代行できます。