会社登記・事業ができる不動産物件・できない不動産物件

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いつもお世話になっております。司法書士の諌山です。

今回は、会社登記・事業ができる不動産物件、出来ない不動産物件についてお話ししたいと思います。

今回の概要

会社設立、本店移転をするとき会社の所在地として登記できるか?
登記だけではなく事業もできるのか?

以下の物件別に解説いたします。

当事務所は開業して10年目に入りました。
これまで、のべ200社以上の会社登記のご依頼を受けております。

この記事をお読みいただくと、不動産物件の種類ごとに会社登記をして事業ができるのかどうかが分かります。

先に結論です

先に結論を言いますと以下のとおりです。

解説します。

会社・法人の登記は、持ち家でも賃貸でもどの物件でもやろうと思えばできます。

なぜなら、実は、設立登記を申請する先である法務局は会社の所在地は調査しません

でも勝手に他人の不動産の所在地に会社の登記をしたら、その不動産の持ち主は怒ってしまって、出て行けと言われること間違いなしなので、そんなことは絶対にやめましょう。

さて、本題に戻りますが、会社登記をして事業をするという場合、不動産物件の種類別にできるかできないか、私の意見は次のとおりです。

  1. 一戸建ての持ち家は問題なし。
  2. 分譲マンションはだいたいダメ。
  3. 賃貸一戸建て・賃貸マンションは管理会社しだい。
  4. 賃貸事務所・レンタルオフィス・バーチャルオフィスは基本的にOK。

理由をご説明します【建物の種類ごと】

1.一戸建て(持ち家)

一戸建て(持ち家)は、自分が所有する建物のため、自由に使用できるから、基本的には問題になることはありません。

ただし、近隣に迷惑をかけるようなことはダメです。

騒音や悪臭を出したり、頻繁に自動車が出入りするようなケースですが、あまり度が過ぎると近所迷惑となってしまい、クレームなどの原因になりますので、ご注意ください。

2.分譲マンション(持ち家)

分譲マンションはどうなるかといえば、一般的にはマンションの管理規約に住居専用と定められている場合が多いです。

そのような場合、事業用途は認められないことになるので原則、アウトです。

3.賃貸一戸建て、賃貸マンション

賃貸の一戸建てや賃貸マンションは管理会社に聞いて、ダメと言われたらアウトです。

4.賃貸事務所・レンタルオフィスなど

賃貸事務所・レンタルオフィス・バーチャルオフィスは事業用として使われることが前提となっています。

普通でしたら、賃貸募集の広告やホームページで「会社登記可」と書いてあるケースがほとんどです。

もし募集広告などで、「会社登記可」と記載されていなければ、募集している不動産会社に確認してください。

ただし、会社が一社でしたら問題ないけども、複数の会社をその物件を所在地として登記する場合は、別途許可や追加費用が必要になる場合がありますので、不動産会社(管理会社)にご確認いただいた方が良いです。

分譲マンションで事業が出来なくなった裁判例

これは会社ではなく税理士事務所の例になりますが、分譲マンションで事業の継続ができなくなった例をご紹介します。

管理組合と税理士事務所との間で裁判になってしまいました。

世田谷区の閑静な住宅街の中にある分譲マンションで、昭和44年に建てられたものです。

マンションが建てられた当初は、管理規約に住居専用とする規約はありませんでしたが、昭和58年になって住居専用とする規約が定められました。

問題となった税理士事務所は、昭和60年にこのマンションに事務所登録を移してきました。

このマンションには他に事業をやっていた部屋はなかったのかといえばありました。

昔はクリニック(医院)をやっていた部屋もあったそうですが、平成6年ごろまでに廃業していて、裁判が起こされた時点で、税理士事務所以外で事業をおこなっている部屋は無くなっていました。

このケースでは、管理組合が税理士を相手取って裁判をして、最終的には、税理士事務所としての使用を禁止する判決が出ています。
(東京高裁平成23年11月24日判決)

よくある反論について

こういった見解や裁判例を解説すると、次のようなご意見をお持ちの方もいらっしゃると思います。

「住んでいる分譲マンションには、ちらほら事務所として使っているところがあるし、会社名がポストの表札に書いてある部屋もいくつかあるよ。」

そうですね。確かに、分譲マンションでも特に駅近の物件だと、事務所や会社がちらほら入居しているマンションは見たことがありますよね。

しかしそんなマンションでも、管理規約を見てみると「専ら住居としての使用に限る」と書いてあるケースが多いです。

これについて、会社登記して事業ができるかどうかは、私の意見としては、黒に近いグレーと申し上げておきます。

というのも、管理規約で住居専用と決められている以上、住居以外で使ったら規約違反になるという原則からです。

これが、先ほど述べた、黒に近いグレーの「黒い」ところ、つまり原則アウトとなる部分です。

その一方で、これまで会社とか事務所としての使用が黙認されてきた事実があります。「なんで私だけダメなんだ!」というお気持ちははわかります。

そこで一つの解決法として、分譲マンションの管理組合に聞いてみるのが良いと思います。

管理組合に聞いて、どんな事業をするのか聞かれると思いますが、先方から特に反対意見が出なければ(あくまでも黙認状態ですが)、そうしたらマンションの自宅で事業をスタートしてみる、という方法をこの記事ではご提案させていただきます。

まとめ

最後に今回のお題について、以下のとおりまとめたいと思います。

ありがとうございました。

というわけで、今回は、会社の登記をどの物件だった置けるのか、事業をしてもいいのか、ということを解説いたしました。

今回も最後までご覧いただきましてありがとうございました。

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