自分で不動産の登記ができないケースがあります【中古マンション・一戸建・土地】

自分で登記したいのに

先日、このような質問がありました。

「自宅として家を購入する予定があるのですが、登記費用を節約したいので自分で登記できたらと思っている。知り合いに聞いたら、自分だけでは登記はできないと言われた。どういうことだろうか?」

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この記事の筆者

こんにちは、諌山(いさやま)です。

2010年に司法書士事務所を開業して10年目になりました。

仕事をしていると、いろいろな質問をいただきますが、今回は不動産を購入したときに自分で登記できるかどうかについて、お話をしてみたいと思います。

この記事の概要

自分で登記したくなる場合

中古のマンションや一戸建て、あるいは土地を購入する場合に、購入金額が数十万円とか100万円前後の場合があります。

地域にもよりますが、大都市圏でも郊外であれば、不動産の価格は一般的には安価になってきます。

不動産を購入したら、買主である自分の所有名義に登記簿を書き換える手続きをする必要があります。

ところが、司法書士に登記費用の見積もりを頼んだところ、登記代として、たとえば報酬5万円、印紙代5万円で合計10万円の見積もりが出てきました。

こんなケースで、登記費用(報酬5万円)を節約したいので、自分で登記をできないかと考える方がいます。

もちろんこの考え自体はよく分かるのですが、さて本当にできるのかどうか、いくつか参考になる判断基準がありますので、ここでは5つの場合について説明します。

自分で登記することが難しいケース

仲介業者が入っている場合

不動産屋さん(不動産業者)の仲介をとおして購入する場合、あなたが自分で登記をできるケースはほとんどありません。

不動産屋さんは不動産物件をあなたに紹介して、仲介手数料をお客さんからもらうのと引き換えに、安全に確実に、不動産の売買を取引を完了させる責任があります。

たとえば、売買の対象不動産の権利関係や設備について、きちんとお客さんに理解してもらい、売主と買主の間で売買代金の支払いをしてもらいます。

そして、買主に不動産の引き渡しがきちんとおこなわれるところまで見届けています。

これらの責任をきちんと果たさないと、あとでお客さんから物件の不備や代金の未払いについてクレームを受けたり、最悪の場合、不動産屋さんが仲介責任を果たしていないことを原因として訴えられることにもなりかねません。

そんな事情から、売主から買主への所有名義の移転登記についても司法書士に任せて確実に登記してほしいと不動産屋さんは考えますので、買主さんが自分で登記したいと言っても、断られてしまうのです。

売主のことをよく知らない場合

登記申請をするときに、売主から不動産の権利証などの書類を提出してもらう必要がありますので、買主ひとりで不動産の所有名義を書き換える登記を申請することはできません。

書類が最初から全部きちんとそろえば良いのですが、あとで書類が足りないことがわかったときに、気軽に応じてもらえる売主である必要があります。

買主が登記のことを一から調べながら申請する場合には、一度ではうまくいかないことも考えておいたほうがいいです。

司法書士に登記を任せたときは、専門家として書類の内容や過不足について厳密に確認してから申請しますので、あとで書類を追加で求めてくるケースはほとんどありません。

売主があなたのお隣さんや近所の方、あるいは親戚縁者でよく知っている人である場合でしたら、ちょっとくらい書類に不備にあっても気軽に応じてもらえる(はず)でしょうから、時間をかけながら自分で登記を申請できることもあると思います。

相手方との信頼関係があるかどうか、あるいは信頼関係を築ける相手であるかは、大事なポイントなります。

購入資金を銀行から借りる場合

銀行などの金融機関でローンを組むのでしたら、不動産の買主が自分で登記できる可能性はまずないと思っておいたほうが良いです。

銀行はお金を貸してくれるかわりに、あなたが購入した不動産が確実にあなたの所有名義として登記されること、さらに、銀行はその不動産に「抵当権」という権利を設定して、その登記が完了することを条件として求めてきます。

そして、これらの登記申請を確実におこなってもらうため、司法書士に依頼することを求められます(その費用は買主負担ですが)。

融資を受ける銀行によっては、どの司法書士に頼むのか銀行側からあらかじめ指定されることもあります。

というわけで、ローンを組んで不動産を買うときは、自分で登記をすることは非常に困難(ムリ)だと考えたほうが良いです。

抵当権とは

銀行などの金融機関がお金を貸し付けるのと引き換えに、不動産を担保として求める場合には、抵当権という権利を不動産に登記することが多いです。

抵当権の登記があると、銀行は貸し付け先から返済がされなくなったときに、裁判所に競売を申し立てて、強制的に不動産を売却のうえ、貸し付け金を回収することができます。

権利関係が複雑でないこと

土地と建物の持ち主が別々であったり、複数の人物が仲良く共有者として所有名義を持っている場合があります。

不動産の売買の当事者が増えるということは、登記をするときに、その人数分の必要書類をそろえなければなりませんので、登記申請に持ち込むまでの難易度は高くなってきます。

どんな不動産取引でも最初にすることですが、購入する不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)を見て、誰が所有者なのかよく確認する必要があります。

話をしなければいけない相手方が増えるだけ、あなたが自分で登記をするための同意を取り付けたり、書類をもらう手間は増えますので、その点は注意してくださいね。

抵当権の登記が残っている

購入する不動産の登記簿を確認したところ、「抵当権」の登記が残っている場合は、その登記を抹消する必要があります。

売主さんが、過去に銀行などの金融機関からお金を借りていた、ローンを組んでいた場合には、抵当権の登記が登記簿に残っていることがあります。

抵当権の登記は、たとえ借り入れ残高が0円で完済していたとしても、自動的には消えてくれません。

銀行サイドでも抵当権の登記を消してくれるサービスは提供していません。

つまり、不動産の所有者が自分で抹消登記をする必要があるのです。

抵当権の登記を、登記簿から消してもらう手続きのことを「抵当権抹消」と言いますが、抵当権を抹消しないうちに買主が所有名義だけを取得しても、買主は「きれいな所有権」を取得したとは言えません。

こんな場合は、あらかじめ売主さんに抵当権を抹消してもらうことをおすすめします。

ちなみに、司法書士が登記の依頼を受けたときは、基本的には抵当権抹消と所有名義の移転はまとめて申請してしまいます。

自分で登記しやすいケース

というわけで、

これまで述べた「自分で登記することが難しいケース」の反対の場合でしたら、自分で登記できる可能性は高くなってくるということです。

もちろんをこれらをすべてクリアーできるからと言って、自分で登記を確実に終わらせることができるとは言えないところが、不動産登記の難しいところです。

とはいえ、取引価格が数万円とか数十万円くらいで、現金購入する場合でしたら、自分で登記にチャレンジしてみてもいいのではないのでしょうか。

本当は司法書士に登記を任せるのが安心ですが、あまり費用をかけたくないこともあるでしょう。

そのときは、これまでこのブログで書いてあることを参考にして、自分でやってみたいと思っている登記の「難易度」がどれくらいになりそうなのか確かめてから、取りかかるかどうか決めたほうがいいですね。

さいごに

最後になりますが、一般の方が自分で登記をするのでしたら、法務局(登記所)との事前相談は欠かせませんので、登記簿謄本や資料を持って事前に相談してみることをおすすめします。

不動産の所在地によって管轄する法務局は異なりますので、法務局のホームページで確認してください。がんばってください。

最後までこの記事をご覧いただきましてありがとうございました。

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