会社登記とは何なのか?どこでできるのか手順と注意事項を解説します

書類のチェックが完了しました

「会社登記とはなんだろう?どんなことが登記されるのかな?」

「どこで会社登記はできるのだろうか?登記申請の方法も知りたい。」

この記事の筆者について

こんにちは、諌山(いさやま)です。

2009年に司法書士として活動を開始してから10年以上が経ちました。

毎日のように業務で会社登記を取り扱っています。

今回は、会社登記とはなにか?会社登記はどこでできるのか?といった素朴な疑問にお答えしたいと思います。

この記事の概要

会社登記とはなにか?

会社登記とは、会社に関する取引上重要な一定の事項(商号・本店・役員など)を、国の機関である法務局の職員(登記官)が審査のうえ、コンピュータに記録したものです。

会社登記は一般に公開されています。手数料を支払えば誰でも会社登記の内容を見ることができます。

会社は設立の登記をすることで初めて法人として成立しますし、基本的な情報を登記することによって信用の維持を図ることができます。

また、会社登記は取引の相手方が安心して取引ができることを目的として公開されています。

会社の種類にはどんなものがあるか?

会社法という法律で定められている会社の種類は、株式会社・合同会社・合名会社・合資会社の4つです。

たとえば、株式会社でしたら、商号・所在地・会社の事業目的・資本金の額・役員の氏名・代表者の住所氏名などが登記されています。

会社の登記簿謄本の取り方について解説した記事があります。
関連記事:会社の登記簿謄本の取り方を徹底解説します

会社を設立したり、会社の登記する事項に変更があるときは、法務局に登記申請することになります。

筆者がよく聞かれることですが、「株主は登記されるのか?」という質問です。

(答え)株式会社の株主は登記されません。

じゃあ、株主はどこに記録されるかといえば、株式会社の株主名簿に登録されることになっています。

株主名簿には、株主の住所・氏名・持株数などが記載されます。

登記していない会社は違法?

そうです。
会社でない者は、その名称や商号の中に、会社であると誤認されるおそれのある文字を使ってはいけないことになっています。

会社でない者が、会社と名乗ってはいけませんし、ある種類の会社が別の種類の会社を名乗ってもダメです。

たとえば、合同会社が株式会社という名称を使うことはできません。
違反すると100万円以下の過料(行政罰)の制裁を受けることもあります。

残念ながら、世の中には会社として登記していないにもかかわらず、「〇〇株式会社」と会社を名乗っている団体とか個人がいます。

取引するときにあやしいと思ったら、きちんと会社の登記をしているか調べてみたほうがいいです。

会社の検索方法について解説した記事があります。
関連記事:会社登記を検索できるサイトご紹介【4つ+番外編あり】

登記上の会社ではないが、屋号を名乗ることは構わないのか?

個人事業主やフリーランスの方、法人ではない団体が、仕事で使う名称として「屋号」を使用することはまったく問題ありません。

個人が経営しているお店で「〇〇屋」とか「△△商店」、「□□本舗」などの名称を使って商売しているところはいくらでもあります。

税務署に提出する開業届や確定申告書にも「屋号」を書く欄があるくらいです。

開業届
青色申告申請書
確定申告書

この屋号ですが、登記されている会社が使っていることもよくあります。

すでに会社登記された商号(会社名)があるのに、運営しているお店では別の名称を使っているケースですね。

たとえば、飲食業だと会社名と店名がぜんぜん違うことがたくさんあります。


(商号)ワタミ株式会社
(屋号)三代目鳥メロ、TGI FRIDAYS など

会社登記はどこでできるのか?

会社登記は、会社の所在地を管轄する法務局でできます。

法務局は全国のあちらこちらにありますが、会社の所在地によって管轄する法務局が決まっています。

管轄は法務局のホームページ「管轄のご案内」で分かります。

会社登記の管轄の例

  • 東京都千代田区・中央区・文京区の会社→東京法務局(本局)
  • 東京都港区にある会社→東京法務局港出張所
  • 埼玉県内の会社(全域)→さいたま地方法務局(本局)
  • 千葉県内の会社(全域)→千葉地方法務局(本局)
  • 神奈川県横浜市・川崎市の会社→横浜地方法務局(本局)
  • 横浜市及び川崎市を除く神奈川県全域→横浜地方法務局湘南支局

会社の登記は申請しないと登記してくれません

そうなんです。
会社の登記はこちらから法務局に申請しないと登記してくれません。

登記の申請は会社自身でもできますし、司法書士のような代理人に依頼することもできます。

登記を自分でする方法について解説した記事です。
関連記事:登記を自分でする方法【司法書士に頼らない】

登記申請をするときに、登録免許税という税金(国税)がかかります。

なぜなら、会社は法務局で登記をすることで、一般に公開して信用の獲得を図ることができますので、その利益を受ける会社が登録免許税という税金を負担することになるのです。

登記申請の方法は?

カウンターを訪れた人

登記申請の方法は、「書面申請」・「郵送申請」・「オンライン申請」の3種類です。

まず、一番ベーシックな書面申請のことから解説いたします。

1.書面申請の流れ

1-1.登記申請書の作成

登記申請書を作成します。

申請したい登記の種類によって登記申請書に記入する内容は異なりますのでご注意です。

法務局ホームページ「商業・法人登記申請手続」でも登記申請書のひな形は公開されています。

必要な登録免許税の分だけ収入印紙を、所定の台紙に貼ります。

株式会社の設立の場合は、定款認証の手続きを先におこなう必要があります。

定款とは、株式会社の基本規則を定めた書類のことです。

定款認証は最寄りの公証役場で手続きをしてもらえます。

定款のひな形も公開されています。(日本公証人連合会「定款等記載例」

合同会社の設立の場合は、定款認証の手続きは不要です。

合同会社の定款ひな形も公開されています。(法務局ホームページ「合同会社設立登記申請書」

1-2.添付書類を準備

登記申請書には、登記したい内容に合わせて添付書類をつける必要があります。

申請する登記によって添付書類の種類もかわってきます。

1-3.管轄法務局の窓口に登記申請する

登記申請書、添付書類がそろいましたら、会社の所在地を管轄する法務局に行きます。

営業時間は原則、平日の8時30分から午後5時15分までとなっています。ご注意です。

2.郵送申請の流れ

郵送申請は、登記申請書と添付書類の準備までは書類申請と同じです。
さいごの登記申請書の提出が郵送になります。

2-1.登記申請書の作成

登記申請書を作成します。

申請したい登記の種類によって登記申請書に記入する内容は異なりますのでご注意です。

法務局ホームページ「商業・法人登記申請手続」でも登記申請書のひな形は公開されています。

株式会社の定款は、前もって公証役場で定款認証の手続きを受ける必要がありますのでご注意ください。

必要な登録免許税の分だけ収入印紙を、所定の台紙に貼ります。

2-2.添付書類を準備

登記申請書には、登記したい内容に合わせて添付書類をつける必要があります。申請する登記によって添付書類の種類もかわってきます。

2-3.管轄法務局に郵送する

登記申請書、添付書類がそろいましたら、会社の所在地を管轄する法務局に郵送します。

郵送方法は、普通郵便でも構わないのですが、できればレターパックライトで郵便追跡できるようにしておいた方が安全です。

郵送申請の場合、送付した登記申請書を法務局が受け付けた日(平日)が申請日になります。

いい日(大安とか)にこだわるときは、郵送ではなくて法務局の窓口に持参したほうが確実ですね。

3.オンライン申請の流れ

3-1.必要な機材について

オンライン申請をするとき、主に下記の機材をそろえる必要があります。
お金のかかるものが多いですので、その点はご留意ください。

オンライン申請のために必要な主な機材

  • Windows10または8.1を搭載したネット接続可能な状態のパソコン(Macでは不可)
  • オンラインバンキングができる預金口座
  • すでに存在する会社→法務局発行の電子証明書(リンク:電子証明書取得のご案内
  • これから設立する会社→設立時の会社代表者のマイナンバーカード
  • マイナンバーカードを読み取る必要がある場合→対応するカードリーダー
  • 書類をPDFで作成して電子署名をする場合→Adobe AcrobatなどのPDF作成ソフト
    など

3-2.パソコンの環境設定とソフトのダウンロード

登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)のホームページに行きまして、申請用総合ソフト、セコムパスポートforWebをダウンロードします。

「登記ねっと」を利用するためには、申請者情報登録をする必要があります。

関連リンク:登記ねっと「1 ご利用環境の事前準備(申請用総合ソフト)」

3-3.登記申請書の作成

事前準備が終わりましたら、インストールした申請用総合ソフトを起動して、登記申請書を作成します。

関連リンク:登記ねっと「2 申請書等の作成・送信(申請用総合ソフト)

3-4.添付書類を準備

オンライン申請を使う場合、登記申請書の添付書類もファイルで添付できます。ただし電子署名が必要な書類の場合は、電子署名をします。

添付書類をファイルで準備することが難しい場合は、登記申請書だけオンラインで送信して、添付書類は紙で提出することもできます。

添付書類を紙の書類で提出するときは、管轄法務局の窓口に持参する方法でも良いですし、郵送でも構いません。

3-5.登記申請書のオンライン送信

申請用総合ソフトで作成した登記申請書に、申請人が電子署名してから、送信します。

送信後に、登録免許税をインターネットバンキングやATMで納付できます。

申請した登記の処理状況は、申請用総合ソフトで確認できますので、法務局に電話で問い合わせしなくてもわかります。

関連リンク:登記ねっと「3 手数料の納付・電子公文書の取得(申請用総合ソフト)」

4.会社の登記簿謄本・印鑑証明書はどこで取れるのか?

会社の登記簿謄本(登記事項証明書)と印鑑証明書は、どこの法務局でも取ることができます。

会社の代表者でなくても取れます。従業員とかお使いの人でもオッケーです。

ただし、会社の印鑑証明書は「印鑑カード」がないと取れませんのでご注意ください。

このブログ内に、会社の登記簿謄本の取り方について解説した記事があります。
関連記事:会社の登記簿謄本の取り方を徹底解説します

まとめ

さいごまでご覧いただきましてありがとうございました。

関連記事
司法書士の平均年収と本音を語ります【一攫千金ではなく地道に】
サラリーマンが副業として司法書士はできるのか?

RELATED