自己破産したときの家族への影響【取り立て・車・収入・貯金】

私とあなた

債務整理を考えているけど、家族のことが心配な人「自己破産をすると、家族にどんな影響がでるのかな?家族にバレるのかな?家族に取立てはいくのかな?車とか貯金は大丈夫なのかな?」

この記事の筆者

こんにちは諌山(いさやま)です。

私は約9年間、債務整理専門の大手司法書士事務所や、法務省が認可している債権回収会社(サービサー会社)に勤めていたことがあります。

そのような経験をもとに、自己破産をはじめとする債務整理についてお話をしたいと思います。

この記事の概要

自己破産すると家族にバレるのか?

自分で裁判所に自己破産を申し立てる場合、「同居している家族」に内緒で手続きを進めるのは難しいです。

自己破産をすると裁判所からいろいろな郵送物が自宅に送られてきます。

同居の家族がいる方でしたら、裁判所から送られてきた郵便物に気づかれることがあります。

そうなると、自己破産したことがバレてしまうこともあります。

自己破産しても別居の家族にはわからない

自己破産しても、別居している家族にはわかりません。

別居の家族のところに、裁判所から書類が送られてくることはありません。

ですので、書類を勝手に見られたりしない限り、破産したことがわかってしまう可能性はほぼありません。

債務整理を専門家にまかせると郵便は自宅に届かなくなる

債務整理を弁護士・司法書士の事務所にまかせることで、裁判所や貸金業者からの郵便物の送り先をぜんぶ専門家の事務所にすることができます。

債務整理の専門家は、自己破産を申し立てる人の代理人として、裁判所からの書類を受け取ったり、貸金業者からの連絡窓口としてまとめて対応します。

そうなりますと、家族に知られる可能性をほとんどゼロにできます。

自分名義の財産を家族が使っているときは難しいです

「自分名義」の車や携帯電話を家族に使ってもらっているときは、わかってしまう可能性があります。

破産手続きの中で、自分名義の車を売却したり、携帯電話の通信契約を解約することになりましたら、家族はそれらを使えなくなるわけですから、やはりわかってしまいます。

このような場合は、ご家族名義で車を購入してもらったり、携帯の契約をしてもらうことで、使えなくなることを避けることになります。

自己破産したときの家族への取り立て

自己破産したからと言って、家族に借金の取り立てが行くことは基本的にありません。

なぜなら自己破産した人と家族とは別の人物だからです。

ただし、あなたの借金について家族が保証人となっている場合は請求がいくことになります。

保証人になっている家族

家族が保証人になっている場合、その家族が保証人として支払い請求を受けることになります。

本来は、自己破産する人が支払うべき借金ですが、支払いできないときは、保証人が代わりに支払う義務が生じるからです。

残念ですが、これは仕方がありません。

自己破産するときは、あなたの借り入れについて保証人になっている人を確認したほうが良いです。

場合によっては、家族の方にも事情をよくお話しして、ご一緒に債務整理の手続きに関与していただくケースも出てくると思います。

夫婦・親子のペアローン、リレーローンの場合

夫婦ペアローンや、親子リレーローンで、持ち家を購入した人が自己破産すると、いっしょにローンを組んだ家族に請求がいく可能性が高いです。

ペアローンの場合は、夫婦が相手方(夫・妻)の保証人になっています。

リレーローンの場合は、子が親の連帯債務者になっています。

したがって、ペアローン、リレーローンの場合は、自宅を守るためにも、自己破産だけではなく、任意整理や個人再生といった債務整理の方法についても検討した方が良い場合があります。

奨学金の保証人は影響あり

奨学金を借りている方が自己破産すると、かわりに保証人に請求がいきます。

近年は、学費が高くなってきていることから、奨学金を借りて進学している人が多くなってきました。

貸与型の奨学金は、金利は安いですが、返済をしなければいけない借金であることに変わりはありません。

そして、奨学金を借りるためには保証人が必要になります。

たとえば、日本学生支援機構から奨学金を借りるためには、原則として親を保証人とするか、保証料(お金)を支払って保証機関(日本国際教育支援協会)の保証をつけることが求められます。

親を保証人としている場合、奨学金を借りた人が自己破産すると、親に対して残額の支払いが求められますので注意が必要になります。

家族名義の自動車は大丈夫?

女性と自動車

家族自身がお金を出して購入した家族名義の車は大丈夫と言えます。

なぜなら、家族の財産と、自己破産した人の財産は別財産として区別されるからです。

ただし、以下のような場合は破産手続きの中で、家族名義の車を手放すこともありえます。

名義だけ家族にしている車の場合

自己破産した人が契約して購入したけど、便宜的に車の名義を家族にしているケースは注意が必要です。

このような場合は、破産の手続きの中で「実質的な名義人は破産した人である」と認められると、車を処分して債権者(お金を貸した人)への配当にあてる場合も出てきます。

使用者の名義を家族にしている場合

車の「使用者」は家族名義になっている場合でも、自己破産した人が借りたカーローンの支払いが残っている場合は、車を手放すことになります。

というのも、カーローンの支払いをしている間は、車の所有者としての名義(持ち主としての名義)は、ローンを貸し付けたファイナンス会社の名義になっているからです。

そのため、車の車検証に「使用者」として家族の名前が書いてあったとしても、ローンの借主が自己破産したら車は回収されることになります。

あわてて家族名義にしたとき【ご注意】

自己破産をするまえに、あわてて家族などの名義に移しても、破産手続きの中でその家族名義は認められず、車は破産手続きの中で処分されることになります。

場合によっては、財産隠匿行為として刑事罰の対象になったり、自己破産したときに借金の支払いを免れる許可(免責許可)を裁判所から受けられない原因にもなりかねません。

ですので、破産前に家族などにあわてて名義を移すような行為はやってはいけません。

自己破産で家族の収入は影響を受けるのか?

自己破産した人と、家族の勤め先が違うなど収入が別々でしたら、家族の収入が影響を受けることはありません。

自己破産を申し立てるときに、家族を含めた家計の状況は裁判所に届け出るのですが、家族の収入がそれで影響を受けるわけではありません。

夫婦の日常家事債務の問題

ちょっと難しい話になりますが、夫婦の場合は、民法という法律で定められた「日常家事債務(にちじょうかじさいむ)」の問題があります。

結論から言いますと、貸金業者などの借金は日常家事債務になることはまずありません。

日常家事債務とは?

夫婦が日常生活を送るために通常必要な契約は、夫婦の一方がおこなった契約であっても、他の配偶者(夫・妻)にも支払い義務が発生するという民法の定めのことです。

この夫婦間の支払い義務のことを日常家事債務(にちじょうかじさいむ)と言います。

生活費需品の購入費、子供の教育費、家族の医療費、日常的な買い物の代金、賃貸住宅の賃料、電気光熱費などが典型的な例です。

ただし、ギャンブルによる借金、仕事のための借金、収入に見合わない高額な商品の購入費は、該当しないとされています。

「じゃあ、貸金業者からの借金はどうなるのか?」と言えば、たとえ生活費のための借り入れであっても、日常家事債務になることはほぼありません。

私が知っている限りになりますが、登録されている正規の貸金業者が、夫の借金を保証人でもない妻に請求してきたケースは見たことがありません。

家族の貯金はどうなるのか?

私と貯金

自己破産しても家族の貯金(預金)が減らされることは基本的にありません。

家族の財産は自己破産した人の財産とは別の財産とされますので、破産手続きの中で家族の貯金が問題になることはありません。

ただし、自分名義の貯金を家族に移した場合には、破産手続きの中で、その手続きはなったことにされることがあります。

自己破産申し立て前に、財産を自分以外の人の名義に移すことは、あとで否認される場合もありますのでご注意ください。

【まとめ】自己破産ではない債務整理の手続きもあります

自己破産をすると家族の財産や収入について影響は基本的にありません。

ただし、保証人になっていると貸金業者から支払いを求められたりするなど、ケースによっては影響が出てくることがあります。

場合によっては自己破産がベストの方法になるとは限りません。

任意整理など、ほかの債務整理の方法を使ったほうがよい場合もありますので、手続きを選ぶときはよくご検討することをおすすめします。

最後までご覧いただきましてありがとうございました。

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