司法書士になるだけが人生じゃない【辞めた挫折体験あり】

この記事のポイントです
- 司法書士試験の最終合格者の皆様、おめでとうございます。
- でも司法書士になるだけが人生じゃないよ。試験に合格してから開業にいたるまで紆余曲折ありました。
- 合格した後に就職した司法書士事務所は、半年もたたずに辞めました。
- 資格を持ったまま、10年近く一般企業に勤務してましたが、登記とか法律の知識は役に立ってましたよ。
司法書士試験合格発表
もう先日のことになりますが、2019年11月5日に2019年度の司法書士試験の最終合格者発表がありました。
法務省の発表によると、出願者数16,811人に対して、最終合格者数は601人でした。
出願者数ベースの合格率は約3.57%となっていまして、相変わらず狭き門であることはあい変わらずです。
参考
法務省「平成31年度(2019年度)司法書士試験の最終結果について」
出願者数のことを言わせてもらいますと、出願者数は平成22年の33,166人(!)をピークに、そこから滑り落ちるように毎年減り続けて、今年はとうとう16,811人になっています。
ちなみに、私(諌山)が合格した平成10年度の出願者数は21,475人(合格者数567人)。
私が合格した頃、世間では司法書士という職業の知名度はほとんどゼロの状態でして、ものすごくマイナーな存在だったことを覚えています。
昔のことになりますが、交番のおまわりさんに司法書士のことを公務員だと勘違いされたことがあります。
もちろん司法書士は公務員ではありません。普通の民間人です。
最近でも行政書士さんとよく間違えられることから、依然とマイナーな存在であることは変わりありません。
合格後の進路
さて、司法書士試験に合格した後の進路になりますが、結構いろいろです。
本年度合格者の平均年齢が40.08歳(!!)であることから、大半が30代~40代の方ということになります。
つまり、合格者がみんな専業受験生というわけではありません。
お仕事をしながら受験勉強を続けて合格を勝ち取った人がたくさんいるということです。
すでに司法書士事務所に勤務している方もいらっしゃいますし、そういった方の中には、合格後に司法書士として独立開業する方もいます。
一般の会社で働きながら合格したけども、その後も特に勤務先を変えることもなく、これまでどおりのお仕事を続けている方もいます。
他には、別の資格試験を目指すために受験生活を続ける方もいます。
私の合格後も一本道じゃなかった
私が司法書士試験に合格してから、どのような遍歴をたどったのか述べてみたいと思います。
1.司法書士事務所に勤務したが挫折
私の場合はどうなのかと言えば、合格前は、福岡にある実家住まいのほぼ専業受験生でした。
「ほぼ」となっているのは実家が商売をやっていましたので、その事業の手伝いをしながらだったからです。
平成10年に合格後、都内の司法書士事務所に事務員として就職しました。この時は司法書士の登録はしていません。私はまだ20代前半でした。
そして、半年も経たないうちにその事務所を辞めました。
辞めた理由は今思い返すと以下のようなものだったと思います。
- 司法書士事務所の仕事が地味すぎた。(当時はそう思った。)
- 所長との折り合いが悪かった(!)
なんと当時の私は、司法書士業界に入ってすぐに挫折したのです!
その後、不動産会社で営業社員になったり、債権回収会社でマネージャーとして不良債権の回収業務していたりしていました。
2.不動産会社の営業社員(2年間)
不動産会社の営業社員時代は、不動産売買の仲介営業でしたので、売買が成約すると司法書士事務所に登記費用の見積もり依頼を出していました。
以前は見積もりを出す立場だったので、逆の立場になったので不思議な感覚です。
不動産会社を辞めた後、今度は債権回収会社に転職しました。
3.債権回収会社(7年間)
債権回収会社とは法務省の認可を受けて債権回収業務を行う会社で、サービサーとも呼ばれています。
一応言っておきますが、ちゃんと法務省の認可を受けた会社ですよ。あやしい会社ではありませんよ!
債権回収とは、銀行などの金融機関がお金を貸し出した相手方が、何かの理由で返済が滞っている場合に、その貸付金の回収をすることです。
返済が滞った貸付金のことは「不良債権」と呼ばれることもあります。
債権回収会社は、金融機関からその不良債権を買い取って、自ら債権者として回収を行うこともできます。
この会社に勤めていた時は、司法書士試験の勉強はそれなりに役立ちました。
債務者(お金を借りた人・会社)との話し合いによる回収が決裂し、止むを得ず裁判手続きを起こす場面がどうしても出てきますが、そのような時に法律の知識は役に立ちました。
4.大手司法書士法人(2年間)
今から12年ほど前に、私は7年間勤めた債権回収会社を辞めて、再び司法書士業界に戻ってきました。
大手の司法書士法人でしたが、当時は全盛期だった過払金(かばらいきん)請求業務を担当していました。
それまで7年間も債権回収業務をやってましたから、回収する相手が消費者金融会社になっただけで業務内容自体に違和感はなかったですね。
5.独立開業
2年ほど司法書士法人で勤務したのちに、独立開業して今に至ります。
開業して10年が経ちました。
まとめ
難関の司法書士試験に合格して、司法書士として活躍する方は頑張ってください!
ご活躍をお祈りしてます!
その一方で。。。人それぞれの置かれた境遇や立場、あるいは性格などに照らし合わせてみると、その人がすぐに司法書士として事務所に勤めたり独立開業したりすることが、その人にとってベストな選択になるとは限らないと思っています。
合わないと思ったら一旦業界から離れてみて、別の社会経験を積んで、また戻ってくるのも全然OKですし、他の業界が楽しければ戻って来なくても全く問題ないのです。
あるいは、司法書士試験に合格したという経験が人生の糧になれば、それだけでも良いと思っております。
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