フリーランス司法書士は中毒性が高いのでやめられなくなります【経験談】

タイトル画像ーフリーランス司法書士はやめられない

フリーランスという会社や組織にしばられることなく、個人で仕事を引き受けて、その働きに対して報酬をもらうワークスタイルは、世間的にもかなり知られてきました。

一般的にフリーランスといえば、プラグラマーとかWebライター、デザイナーといった職業がわりと有名です。

でも、司法書士のような士業もフリーランスとして、会社や組織に縛られることなく働くことができる職業の一つです。

今回は、独立自営のフリーランス司法書士として10年以上活動している私が、「フリーランスの代償としてのデメリット」と「フリーランスの中毒性が高くてやめられない」ことについて、解説したいと思います。

この記事の筆者

こんにちは、諌山(いさやま)です。

司法書士事務所を開業して今年で10年経ちました。

日々の業務をおこなっていて、感じたこと考えたことをブログで述べています。

この記事の概要

自由の代償はすべて自分の責任になること

このトピックでは、5つのお話をしたいと思います。

なんでも自分でやることになる

フリーランスはなんでも自分でやらなければいけなくなります。

自分一人でやっているわけですから、会社組織のようにみんなで分業することはできません。

司法書士として依頼者に提供するリーガルサービスのお仕事以外にも、事務所の備品を発注したりとか、経理といった売り上げに直結しない事務的な仕事も自分でやる仕事になります。

たとえば、事務所に封筒がなければ郵便物を送ることができませんし、事務所の売り上げや経費を会計ソフトに入力して帳簿を作っておかないと、税金を納めるための確定申告ができません。

「じゃあ、業務以外の事務仕事なんて、空いた時間にやればいいじゃないか?」と思う人もいるかもしれません。

そうですね。事務所を始めてすぐの時期でしたら、いくらでもそのような作業をする時間がありますね。

筆者も、自分の事務所を始めたばかりの時期は、お仕事はあまりありませんでした。

ですから、最初のうちは、パソコンの会計ソフトに売り上げとか経費とかを入力するための時間を作ることができたのです。

でも、事務所を始めてから何年か経つと仕事がだんだん忙しくなってきます。

そうなると、しだいに仕事以外の事務作業に時間を割けなくなってきます。

けっきょくのところ、通常業務が終わった後の時間帯である夜であったり、休日の一部を作業にあてることもあります。

経理業務は税理士に外注に出すこともできますが、他人に作業をお願いするわけですから当然お金がかかります。

自分自身のフリーな時間を増やすためには、お金がかかるようになるということです。

ということで、フリーランスは本来のお仕事以外にも、事務所の備品管理とか経理作業といった作業も自分ですることが基本になりますので、将来とりあえず一人で事務所をやろうかと考えている人は、そのことはよく覚えておいた方が良いと思います。

経費もすべて自分が負担

会社員との大きな違いは、事務所の運営でかかるお金は全部自分で負担することになる、ということです。

自分で事務所をはじめて、ようやく実感する部分かもしれません。

事務所を借りていれば、いろいろな必要経費がかかります。

事務所の家賃・パソコン・プリンター・コピー用紙・郵送用の封筒代・切手代・宅急便代・移動にかかる交通費・司法書士会の会費(毎月)など

司法書士って書類を印刷することが多いですから、プリンターとコピー用紙をたくさん使います。

コピー用紙は大した金額ではないのですが、プリンターのインク代は地味にお金がかかります。

自分で事務所を運営すると、「こんなにお金がかかることがあるのか・・・」ということが分かってきます。

事務所を賃貸で借りていると、その家賃はそこそこかかってしまいます。

でも、それ以外の費用はどうかといえば・・・

一つ一つの金額は大したことがないのですが、じわじわと毎月積み上がっていきますので、年間でみると結構な金額になっていることがあります。

ということから、事務所の備品を買うときは、同じものが安く買えるように購入先を変えたり、不必要に高品質なものを買っていないか見直すことで、コストカットをすることになります。

ここまでは、事務所の運営費のお話しでしたが、次の項では年金と健康保険についてもお話しします。

年金・健康保険のお話

フリーランスだと、年金と健康保険料も全部自分で支払いをしていくことになります。

会社員の時は、会社の方で給料から天引きする方法で支払ってくれていましたが、フリーランスの場合は自分で支払っていくことになります。

会社のような社会保険はありません。個人事業主の場合は「国民年金」と「国民健康保険」です。

国民年金は毎月一定の額ですが、国民健康保険は、あなたの収入に応じて金額が変動します。

国民健康保険の支払い額は収入によって変わりますが、そこそこ生活できるだけの収入を得るようになると、住んでいる町役場から毎年数十万円の請求がくるはずです。

会社員でしたら会社が半額負担してくれますが、フリーランス(個人の自営業)は自分で全額を負担します。

フリーランスをはじめる方は、健康保険料は思っていたよりも高い金額になることは覚えておいた方が良いと思います。

フリーランスは、年金や健康保険は全額自分で負担することになりますので、その点はご注意です。

固定給はもらえない

フリーランスは、シンプルな言い方をすると自営業ですので、毎月のお給料のような固定給ありません。

自分が運営する司法書士事務所に、お仕事の依頼がないと売り上げは発生しません。

筆者にもサラリーマン時代はありました。その時期は、何も考えなくても会社から毎月のお給料は銀行に振り込まれていました。

そのあと、独立開業して自分で事務所を運営するようになると、売上が少ない時期はやはりさびしい思いをします。

そのようなとき、「会社員が毎月のお給料がもらえるのっていいよなあ・・」と、今でも思います。

とはいえ、自営業は会社員のようにお給料はもらえませんが、自分で稼いだ売り上げから、かかった経費を差し引いた残りの金額は、すべて自分の収入になります。

そのあたりは、会社員との大きな違いだと思います。

仕事の依頼が多くなると、もちろんバタバタと忙しくなりますが、事務所の売上が上がっていくのを見ると、疲れも吹き飛びます。忙しくても辛くありません。

これからフリーランスの司法書士をやってみよう思っている方は、最初は仕事があまりなくて、お給料やボーナスをもらえていた会社員時代が懐かしくなることがあるかもしれません。

でも、そのうち仕事の依頼が多くなって売り上げも上がってくれば、目の色を変えて仕事をすることになります。

自分の将来について良いイメージを心の中に描いておくと、フリーランスを続けていくためのモチベーションアップにつながると思っています。

スキル不足だと大変です

フリーランスとして仕事の依頼を受けて、きちんとその依頼に答えていくためには、業務スキルを持っていないと、いずれ自分自身が困ることになります。なんといっても、お客さんに迷惑をかけてしまいます。

仕事を頼んだ司法書士がきちんとした仕事をしないとお客さんは困りますし、司法書士も同じ依頼者からふたたび仕事の依頼をもらえなくなります。

お客さんがリピーターになってもらえないと、新規の依頼者を集め続ける無限ループに陥ってしまいます。

そのようなことにならないためにも、司法書士として業務をこなすためのスキルアップは必要です。

即独司法書士はどうするか?

独立開業する前に、どこかの司法書士事務所で実務の経験を積むことは多いですが、その一方、独立開業する司法書士の中には、司法書士試験に合格したあと即独立開業する司法書士がいます。

略して「即独(そくどく)」とも言います。

筆者は、司法書士事務所に2年間くらい勤めたあと、自分の事務所を開業しましたので、即独立開業というわけではありませんでした。

でも、以前勤めていた事務所は債務整理業務、つまり、借金で困った人の法的な手続きをお手伝いする業務がメインでしたので、司法書士のコアな業務である、登記業務の経験は少ないまま開業してしまいました。(今は大丈夫ですよ!)

登記業務に関しては即独立開業だったかもしれません。

でも開業してからいただいたお仕事のほとんどは、実は登記のお仕事でした。

じゃあどうやって登記の仕事をこなしてきたかといえば、相談できる同業者をお持ちの方でしたら心強いですが、いつまでもそれで済むわけではありませんので、次のような方法は参考になるかもしれません。

こんな感じで、正しい解決法にたどり着けるようなプロセスを持っておけば、ちょっと難易度高めの仕事が舞い込んできた場合でもこなせるようになってきます。

ということで、依頼者の期待に応えるためにも、スキルはあらかじめあった方が良いですが、問題解決するための自分なりのプロセスを持っておくことは大事なことだと思っています。

ひとりぼっちが辛いかも

フリーランスは基本的には「ひとりぼっち」です。

孤独を愛するような方でしたら、ひとりぼっち問題はそもそも問題にならないですが、ひとりぼっちが辛く感じてしまう人はフリーランスは向かないかもしれません。

何年も前のことになりますが、筆者がお客さんから、会社の本店移転登記の依頼をいただいたことがあります。

会社の本店というのは会社の登記上の住所のことですが、会社の住所を移転するときは本店移転登記という会社の登記をすることになります。

そこで、私はその依頼者に尋ねたのですが、どうして会社を移転するのですか?と聞きました。

すると、次のような答えが返ってきました。

「一人で会社をやっているのがしんどくなったので、知り合いの会社の余っているスペースを借りて、そこに自分の会社を移したいのです。」

どうやらその会社経営者は、ひとりぼっちで仕事をするのがしんどかったみたいですね。

こんなケースを司法書士にあてはめると、ひとりぼっちを避けたいのでしたら、他の司法書士といった同業者とか、他の士業の方と合同事務所でやっていくという方法があります。

もちろんこの方法は、気の合う士業の仲間がいないとできないことです。

これ以外の方法もあります。気分転換でなんとか寂しさをまぎらわせる方法もあります。

最近でしたら「コワーキングスペース」とか「シェアオフィス」といった、時間単位で借りて使うことができる共有オフィスがあります。

都会はもちろん郊外でも設けられている地域はありますので、ワーキングスペースをたまに借りて、気分をリフレッシュするのもアリだと思います。

ここまで、フリーランスの司法書士にまつわる、いくつかの問題についてお話をしてきましたが、テンションが下がることばかり言っていても仕方がないので、フリーランス司法書士の良いところもお伝えしたいと思います。

フリーランス司法書士は中毒性が高い

画像ーフリーランス司法書士

上司も同僚もいないストレスフリー

フリーランスのひとり司法書士は中毒性が高いです。

上司も同僚もいませんので、事務所の中では人間関係に気を遣う必要がありません。これが最大のメリットかもしれません。

とはいえ、司法書士はお客さんからお仕事をいただいて業務をやっていますので、メール・電話・面談するなど、少なからずコミュニケーションをする場面はあります。

でも、それは一時的なできごとにすぎません。

それ以外は、自分の裁量で気兼ねなく仕事をすることができます。

業務をやっていくために、上司の承認とか事務所の中の空気を読んだり、そんなシーンは出てきませんので、事務所内の人間関係からはストレスフリーになれます。

勤務時間は自由

自分の事務所ですから、仕事をはじめる時刻も終業の時刻も、決めるのは自分の自由です。

お仕事に差し障りが出なければ、いつ休んで、いつ働くのも自分の裁量で決められるのです。

ただし、一点だけ注意したほうがいいことがあります。

自分で自分の時間をうまくコントロールできない人は、ダラダラ長時間労働になったりしますので、ご注意です。

最近のケースだと、自宅などで仕事ができるテレワーク制度を取り入れた会社がありますが、そのような会社の社員が、テレワーク中に勤務時間のメリハリをつけられなくなって、長時間労働になってしまっているケースもあります。

そんな現象を自分の仕事で再現したくないですよね。

とはいえ、司法書士は平日の昼間に役所に登記申請をしたり、役所の窓口まで足を運ぶことが多いですし、お客さんとの連絡も日中にすることが大半のはずです。

ですから、いくらフリーランスの司法書士だったとしても、結局のところ「平日」の太陽が出ている「明るい時間帯」に仕事をすることがメインになると思いますので、昼夜逆転生活をしてみたいと思っていても、実際は難しいはずです。

そうなると、平日の明るい時間帯にきちんと活動できるように、「規則正しい生活」をしないと、司法書士としてやっていけませんので、フリーランス司法書士といっても「時間の使い方にちょっと融通が効くくらいの自営業」と思っておいた方がいいです。

まとめ

というわけで今回は、

というお話をいたしました。

このブログを最後までお読みくださいましてありがとうございました。

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