任意整理の支払いが遅れたときは再和解で解決する
「貸金業者からの借金はすでに任意整理をして、毎月の支払いをしてきたけど、最近苦しくなってきた。」
「任意整理をしたけど支払いが延滞してしまった。なんとか解決する方法はあるのでしょうか?」
このような疑問にお答えしていきます。
- 一度、任意整理をしたあとで支払いが遅れてしまっても、2回遅延する前に追いつかせることで、一括返済をさける方法があります。
- 再度の任意整理(再和解)をすることで、支払い期間・金額のリスケジュールができる場合があります。
- 再和解のために、これまで任意整理の対象にしていなかった支払い先を追加して、任意整理する方法があります。
- 法的整理を検討したほうが有利なケースもあります。
この記事の筆者
こんにちは諌山(いさやま)です。
私は債務整理専門の大手司法書士事務所や、債権回収会社につとめていたことがあります。
この記事の概要
- 任意整理をした後で支払いが滞っても対策はあります
- 遅延になる前に支払いを追いつかせる
- 再度の任意整理(再和解)という方法で解決する
- 業者を追加して交渉する方法もある
- 法的整理(自己破産・個人再生)のメリット・デメリット
任意整理をした後で支払いが滞っても対策はあります
一度、任意整理をして、そこで取り決めた支払いが遅れてしまうと、もうダメなのかと言えば、必ずしもそんなことはありません。
まだやれることはあります。
この場合、とることができる方法として、「支払いを追いつかせる」、「再度の任意整理(再和解)」、「法的整理への移行」の3つの方法が考えられます。
任意整理とはなにか?
任意整理は、貸金業者からの借金の支払いの金額が多くて大変な場合に、貸金業者と話し合いをすることです。
話し合いで、「分割支払いの回数」や「利息や損害金のカット」について交渉する手続きをします。
貸金業者との話し合いによる解決方法であるため、裁判所を使うことはありません。
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何らかの事情で支払いが難しくなった
「任意整理をして、毎月分割して返済していたけど、支払いが苦しくなってきて、とうとう返済が遅れてしまった」
このようなケースはよくあります。
返済が遅れる理由はいろいろあります。
病気にかかってしまったり、思わぬ事故にあったりして、不意の出費がかかることがあります。
あるいは勤め先の会社が業績が悪くなって、給料が減ってしまうこともあります。
ただし、「もう無理」と思っていても、まだまだやれることはあります。
そこで、どのような対応策があるのか、順番に述べていきたいと思います。
遅延になる前に支払いを追いつかせる
2回支払いが遅れると一括返済の義務
同じ支払い先への返済が2回延滞するまでは、まだ間に合うケースがほとんどです。
最初に任意整理をしたときに、貸金業者(消費者金融)などの金融機関と、残った借入金について、支払い回数と毎月の支払額などを書面で合意します。
その合意の中に、「2回支払いを遅延したら、残額を一括返済する。延滞したら年〇〇%の遅延損害金が発生する」という約定が入っているはずです。
逆にいえば、支払いが遅れた回数が1回でしたら、まだ一括返済を求められないことになります。
任意整理したときの契約書に書いてあります
任意整理をしたときに、貸金業者との間であらためて結んだ契約書がお手元にありましたら、ご確認ください。
その契約書の中に「期限の利益喪失事由(きげんのりえきそうしつじゆう)」という表題の条項があります。一括返済を求められる条件について確認することができます。
つぎの項で、具体的にどう対応するのか述べていきます。
遅れた支払いを追いつかせて解消する
まず検討したいのは、2回支払いが遅延になる前に、遅れている支払いを追いつかせることです。
支払いを追いつかせる方法は3つです。
- 収入を増やす
- 支出を減らす
- ほかの支払いを待ってもらう
先ほど述べたとおり、支払いの遅れがまだ1回だったら間に合うケースがほとんどですので、2回目の遅延が発生するまでに、支払いが追いつかせることができれば良いのです。
遅れてしまった支払いができるように、手元に残る資金を増やす方法を考えなければいけません。
考えられる方法として、収入を増やす、支出を減らす、ほかの支払いを待ってもらう、ということになります。
1.収入を増やす
収入を増やす方法として、お勤めの方でしたら手当てが多くもらえる職種への転換をしたり、時給制のお仕事でしたら入るシフトを多めにすることで、給料を増やすことができる場合があります。
近年は、副業を認めている会社も増えてきましたので、副業をして収入を増やしていく方も多くなってきました。
自営業の方でしたら、取り扱うことができる仕事の種類や量を増やしていくことや、高単価の仕事に取り組むことなど、収入アップのための活動をすることになってきます。
あるいは、
現在の収入が、これからも増えていく見込みが立たないのでしたら、場合によっては、転職・就職も検討したほうが良いかもしれません。
2.支出を減らす
お金が入ってくる部分だけではなく、お金が出ていくところを調整して、返済にまわす金額を確保するという方法も考えられます。
かんたんに言えば「家計の見直し」になります。
よくあるお金の使い過ぎの例として、高いスマホ料金、多すぎる外食代、高すぎる自動車代、見直しが必要な保険料、酒タバコなどの嗜好品代など、いろいろ考えられます。
このような支出を、少しづつあるいは大幅にカットすることによって、手元に残るお金を増やす方法を考えたほうが良い場合もあります。
・・・と言いましても、収入をすぐに増やすことは難しいですし、支出を減らすのも限界があります。
3.ほかの支払いを待ってもらう【あまりおすすめしません】
3つ目の方法として「ほかの待ってくれそうな支払い先に待ってもらう。」という方策も考えられます。
ただし、この方法は、結局のところ借金の総額を減らすことにつながりませんので、あまりおすすめできないです。
さらに別の方法として、あなたに個人的なツテがあれば、あらたにお金を調達して支払いにまわす方法もありますが、これは借金の総額がかえって増えてしまいますので、もっともおすすめできない方法になります。
支払いが2回以上遅れてしまったときの対応策
それでは、返済のめどが立たなくなってしまったときに、何もすることができないのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
支払いが2回以上遅延してしまった場合の対応策として「再和解」という方法があります。
再和解については、つぎの項でご説明いたします。
再度の任意整理(再和解)という方法で解決する
「任意整理後に毎月おこなってきた支払いが何回も遅れてしまった。」
「貸金業者から一括返済を求められた場合にどうするのか?」
このような場合の対応策のお話になります。
再和解という解決方法は「よくあります」
もう一度、同じ貸金業者との間で任意整理の話し合いをする方法があります。
この方法自体は、めずらしいものではありません。
この手続きのことを「再和解(さいわかい)」と呼びます。
一度、支払い方法について取り決め(和解)をしているので、2回目以降の取り決めのことを再和解というのです。
再和解に応じてもらえる業者・応じてもらえない業者
さて、再和解の交渉ですが、実際のところは、再和解に「応じてもらえる業者」と、「応じてもらえない業者」がいます。
応じてもらえる業者でも、1回目の任意整理より支払い条件をゆるめてもらえるかどうか、交渉してみないと分からない場合があります。
債務整理専門の事務所にお任せするのでしたら、依頼者のかわりに交渉してもらえます。
事務所には、毎日、業者との交渉をしているスタッフがいますので、より良い結果になることが多いです。
私が債務整理専門の事務所で働いていたときですが、本来は3年間(36回)の支払い期間だったところ、5年間(60回)に伸ばしてもらえたケースはけっこうありました。
さらには、7年間(84回)の分割支払いに伸ばしてもらったケースもありました。もちろんケースバイケースですが。
再和解に業者が応じてもらえないときは、もう終わりなのか?
いいえ、そんなことはありません。
ここまで貸金業者との再和解について述べてきましたが、さらに対象を広げて任意整理する方法もあります。
業者を追加して交渉する方法です。これについて次の項で述べていきます。
業者を追加して交渉する方法もある
すでに任意整理をしている貸金業者に加えて、
「まだ任意整理をやっていない業者」があれば、そこを追加して任意整理する方法があります。
業者を追加して任意整理(再和解)する
同じ貸金業者との再和解だけでは、毎月の支払額が多くてきつい場合があります。
そのような場合には、
まだ任意整理していない貸金業者がありましたら、そちらを新たに任意整理の手続きに組み入れる方法があります。
任意整理の手続きでは、任意整理をしたい貸金業者だけを選んで、返済交渉をすることができます。
私が知っている事例の中でも、「ここだけにはきちんと返していきたい。」という理由で、任意整理の対象からあえて外しているケースがあります。
まだ任意整理していない業者には、当初お借り入れしたときの支払い条件で毎月支払っているのですから、その業者に支払い条件をゆるめてもらう交渉をするというものです。
一社だけとの交渉でしたら限界がありますが、ほかの業者も巻き込むことができれば、月々の支払額や期間をゆるめてもらう余地は増えてきます。
まだまだ、あきらめずに進みましょう。
法的整理(自己破産・個人再生)のメリット・デメリット
2回目の任意整理が難しい場合には、自己破産や個人再生といった裁判所を使った手続きを使うことも視野に入れた方がいいかもしれません。
法的整理(自己破産、個人再生)への移行
ここでは、法的整理の中でも代表的な手法である自己破産・個人再生の手続をとるときのメリット・デメリットについて、要点をしぼってお話しいたします。
自己破産・個人再生のデメリット
自己破産や個人再生の手続きでは、あなたにお金を貸している全ての方が、借金整理の対象となります。
任意整理のように任意整理したい業者だけを選んで手続きはできないです。
その一方で、メリットはたくさんあります。
自己破産・個人再生のメリット
自己破産の場合は、裁判所から借入金について免責(めんせき)する決定を得ることができれば、借金は全額なくなります。
個人再生の場合でも、手持ちの財産がほとんどないケースでしたら、借入金の7~8割程度を減額してもらえることが多いです。
しかも個人再生の場合は、住宅ローンを温存またはリスケジュール(支払期間などの巻き直し)をして、住宅ローン以外の借金を大幅に減額してもらえる手続きもあります。
任意整理だと解決が難しい方は、今後の生活で無理をかさねる前に、法的な手続きを検討することは十分にありえます。
まとめ
- すでにした任意整理を守るための方法はあります
- 2回支払いが遅れるとダメ。遅延になる前に支払いを追いつかせる。
- 2回支払いが遅れるとダメ。遅延になる前に支払いを追いつかせる。
- 再度の任意整理(再和解)という方法で解決する
- 債務整理した貸金業者と再度の交渉(再和解)をするという方法があります。
- 債務整理した貸金業者と再度の交渉(再和解)をするという方法があります。
- 業者を追加して交渉する方法もある
- まだ債務整理していない業者があれば、その業者を追加して任意整理(再和解)します。
- まだ債務整理していない業者があれば、その業者を追加して任意整理(再和解)します。
- 法的整理も視野に入れる場合について
- 自己破産、個人再生の手続きでは、あなたにお金を貸しているすべての業者、個人が借金整理の対象になります。
- 手続きが終わったあと、借金の負担は劇的に軽くなります。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
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