司法書士への転職に年齢は関係ある?【相談を受けました】
先日、司法書士試験の合格者の方からご相談を受けました。
「私〇〇歳なんですが、雇ってくれる司法書士事務所ってあるのでしょうか?」
狭い業界なので詳しい年齢は伏せておきますが、筆者より年上の方です。50代以上と思っていただいて構いません。
ご相談者は、司法書士とはまったく関係がないお仕事をされています。
今のお勤め先を定年退職、あるいは場合によっては早期退職して司法書士になろうと思っている方ですね。
今回はこのご相談について回答していきます。
この記事の筆者について
こんにちは、諌山(いさやま)です。
2009年に司法書士として活動を開始してから10年以上が経ちました。
この記事の概要
合格者の平均年齢は40歳に達している
平成31年度の司法書士試験の最終結果をみると、合格者の平均年齢は40.08歳になっています。年を追うごとに年齢が高くなっています。
合格者の平均年齢がどんどん高くなっていますので、人材募集をしている司法書士事務所側も、30代、40代の採用については昔と比べるとかなり許容がすすんでいます。
筆者(40代)の知人である司法書士の方たちは、いずれも問題なく事務所に就職できています。
じゃあ、それ以上の年代はどうなんでしょうか。
参考リンク:法務省HP・平成31年度(2019年度)司法書士試験の最終結果
司法書士事務所はいつも人材を募集している
結論から申し上げますと、司法書士事務所に就職できる可能性は十分にあります。
不動産取引の決済業務をメインに扱っている事務所(不動産決済事務所)や、債務整理で出廷業務をたくさんこなす必要がある事務所(債務整理事務所)を中心にあたってみるのがおすすめです。
たくさんの決済業務や、裁判業務を取り扱っている事務所は、司法書士の数を揃えておく必要があります。
不動産の決済に立ち会って、売主・買主などの本人確認作業ができるのは司法書士であることを要します。
簡易裁判所に依頼者の代理人として出廷するのも、簡裁代理業務の認定を受けた司法書士でないとできません、
「不動産取引の決済」とは
不動産売買が行われるときに、さいごに不動産の買主から売主に売買代金が支払われます。そして、売買代金の支払いと引き換えに、売主から買主に所有名義を移転する登記を申請します。これを不動産の「決済」と言います。
不動産の決済に立ち会うことができるのは、司法書士会に登録した司法書士である必要があります。事務員・従業員(補助者)だけでは立会業務をすることができないのです。
「簡裁代理業務の認定を受けた司法書士」とは
簡易裁判所の法廷で「依頼者の代理人」として活動できるのも、法務省の認定を受けた司法書士に限ります。このルールを守らないと法律違反になります。
事務所に勤務する司法書士は入れ替わりがある
「不動産決済事務所」や「債務整理事務所」に限った話ではありませんが、辞めていく人はどうしても出てきますので、事務所は欠員の補充をしなければなりません。
司法書士の資格を持っている人は、知的好奇心が強い方が多いですので、いま所属する事務所に物足りなさを感じたら、わりと簡単に辞めてよその事務所に移ってしまいます。
資格を持っている人は歓迎されます。
あるいは、独立開業を理由に事務所を去っていく司法書士も多いですね。最近は、安定志向で事務所につとめ続ける司法書士が増えてきましたが、やはり独立する方は一定数いるものですから。
司法書士が容赦なく辞めていく現実があるため、いつもどこかの司法書士事務所が人材を募集をしています。
こういった事務所に、遠慮せずにどんどん応募してみましょう。手を上げてもらえる事務所が出てきましたら大チャンスです。
ベタな表現になりますが、司法書士事務所は明るくて協調性のある人を求めています。人物重視です。
司法書士業務の実務経験の有無は問わないところが大半です。
この人に事務所の業務を任せても大丈夫かな?という安心感を求めています。
事務所にはどんな種類があるのか知りたい方は、こちらの記事もどうぞ
関連記事:司法書士向けの転職サイト3選+事務所タイプ別の見分け方
配属研修で実務を学ぶ方法もある
「司法書士事務所に応募してもぜんぜん相手にしてもらえない。このままでは実務を経験できないじゃないか!」
そんな場合もあるかもしれません。
こんな場合は、司法書士会の「配属研修」に応募する方法があります。
司法書士試験合格者でしたら、ご当地の司法書士会が開催する新人研修のあとで、希望する方は「配属研修」を受けることができます。
これは司法書士事務所で実地の研修を受けることができる制度です。ただし無給なのでご注意です。
ここでできるだけ多くのことを体験して実務知識を学ぶのです。
不動産取引の「決済立ち会い業務」をマスターする
司法書士事務所で学ぶべきことナンバーワンは、ズバリ「不動産取引の決済立ち会い」ですね。
というのも、いずれ自営で司法書士事務所をやっていくためには、決済の立ち会いができないと収入面で大きなハンデになるからです。
決済の現場で、登記に関係する書類のチェックや売主・買主などの本人確認を「スムーズかつ完璧」にこなせないとマズイです。
銀行との書類のやりとりや、登記申請を法務局に申請するときのお作法についても、ひととおり学習というか経験をしておいた方がなにかと身のためになります。
座学だけではどうしても学びは薄いですので、実地の経験を多く積むようにすることをおすすめします。
商業登記の習得は自分でもなんとかなる
「じゃあ、商業登記(会社・法人の登記)はどうするんだい?」というご意見もあるかもしれませんが、これは自分でなんとかなります。
というのも、会社の登記は緊急性というか即応性を求められる場面はそれほどありませんので、自分でひとつひとつ調べながら進めることができます。
書籍で調べてもわからないことは、たとえば法務局に事前相談して、疑問を解消しながらでも業務を処理していきましょう。
まとめ
司法書士事務所は慢性的に人材不足を起こしていますので、応募している事務所はいっぱいあります。
たとえ、採用されなくても配属研修で実地を学ぶ機会はあります。
あきらめる必要はまったくありませんので、次々と行動していきましょう。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
司法書士事務所に勤める事務員の目線で、いろんな種類の業務がどんな感じで行われているのか、雰囲気をつかむことができる本です。
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