【司法書士不足】20代の司法書士はたったの1%である件
先日、司法書士の統計を見ていたら、ある事実に気づきました。
20代の司法書士は、たったの1.3%だったのです。
どうしてこうなっているのでしょうか?
いくらなんでも20代の司法書士が1パーセント代というのは少なすぎることから、今回の記事ではその理由について深堀りしてみたいと思います。
この記事の筆者
司法書士事務所を開業して今年で10年経ちました。
日々の業務をおこなっていて、感じたこと考えたことを記事として書いています。
この記事の概要
20代がたった1%しかいない件
2020年度版の司法書士白書という出版物を読んだところ、20歳代の登録している司法書士の割合は約1.3%という事実を目にしてしまいました。
のっているデータは、2019年の4月1日現在のものになりますので、執筆時は少し人数が変わっている可能性はありますが、それほど大きく変わることはありません。
日本全国で司法書士は2万2000人いますが、20代はたったの300人でした。
ちなみに司法書士白書とは、司法書士の実態や活動について世間に公表することを目的として、出版されているものです。
司法書士の手元には毎年CD版の白書が送られてきます。
極秘資料ではありませんので、出版から一定期間がたったあとは、日司連のホームページに大部分が公開されています。
あと、Amazonような販売サイトでも紙の書籍版が販売されています。
20代の司法書士試験合格者の割合は?
じゃあ、司法書士試験の合格者の中で20代の方は何人くらいなのかと、調べたところ、2019年は少なくとも12%程度はいました。
最年少合格者は20歳でした。
20代の試験合格者がおよそ12%なのに、登録しているのは1%というのはどういうことかといえば、合格しても司法書士として登録していない人がいっぱいいるのでは?ということになります。
そこで、筆者がその原因を考えてみました。
20代司法書士がとっても少ない原因について考えた
20代の司法書士が少ない原因について、つぎの3つを考えてみました。
- 法科大学院(ロースクール)に流れている
- 司法書士以外の業界、一般企業に就職する人もいるはず
- 合格したけど、やっぱり業界に馴染めなかった人もいるはず
1.法科大学院(ロースクール)に流れている
弁護士になるための司法試験が通りやすくなったので、そちらに若い人たちが流れている可能性を考えました。
司法書士試験に合格したけど、司法試験にもチャレンジしようと思った人です。
合格したけど司法書士の登録はしないまま、あるいは、登録はしたけど司法書士の業務はしないので登録抹消した人が、少なからずいるはずです。
筆者のまわりにも、司法試験を受けるために司法書士をやめてしまった人は、実際にいましたね。
法科大学院(ロースクール)とは?
弁護士になるための試験である「司法試験」を受験するために、2年から3年間は通う必要がある学校のことです。
原則として、この法科大学院(通称:ロースクール)を卒業しないと、司法試験の受験資格は得られません。
数年間の通学と勉強が必要になりますので、あるていど歳をとった私のような中年世代にはけっこう辛いです。
社会に出て、あるていどの地位や収入を得ている人が、それらを投げ出してロースクールに通うのかといえば、あまりやらないと思います。
社会人が通学しやすいように、夜間コースを設けているロースクールもありますが、仕事や家庭生活とのバランスを取るのは大変です。
というわけで、しがらみが比較的少ない20代のうちにチャレンジする人の方が多くなるというわけです。
2.司法書士以外の業界、一般企業に就職する人もいるはず
試験に合格したけども、すでに、どこかの企業に勤めていて、しばらくは司法書士になる気がない方もいるかもしれません。
司法書士になるだけが人生の選択肢ではないですから、普通の会社で働いていてもいいわけです。
企業にお勤めの方で、司法書士試験に合格した方を筆者は知っていますが、会社をやめる気はぜんぜんお持ちではなかったですね。
その合格者は、「定年退職後のセカンドキャリアとして司法書士をするつもり。」と言っていました。
あと、一般的に言えることですが、若い人の方がいろんな働く場所に就職できるチャンスは大きいはずです。
試験に合格したということは、それなりに法律の知識を持っているという証明にはなりますし、履歴書にも保有資格として書くことができます。
その事実を評価してもらえる企業でしたら、採用される確率は高くなるでしょう。企業の法務部門への就職という方法もあります。
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3.合格したけど、やっぱり業界に馴染めなかった人もいるはず
先ほども言いましたが、司法書士になるだけが人生ではありませんので、いったん外の世界にドロップして、何年かたってから戻ってくるのも自由です。
筆者も20代のころ司法書士事務所に就職したのですが、そのときは馴染めずにドロップアウトしたことがあります。
そのあとは10年くらい一般企業に勤めていましたね。
結局のところ30代後半になってから司法書士の業界に戻ってきて、今は事務所をやっています。
あるいは、司法書士業界は「もうこりごり」だと思っている方でしたら、別の仕事をしていればいいのです。
これまでしっかりと法律の勉強に取り組んできたはずでので、その知識は仕事や人生のいろんな場面で活かすことができるはずです。
けっきょく司法書士を目指すのはどんな人なのか?
ここまでお話ししたとおり、20代の司法書士の割合が少ないのはわかりました。
じゃあ、「司法書士を目指している人は、どんな人なのか?」ということを最後にお話しします。
この記事の最初のところでも触れましたが、2019年度の司法書士試験の合格者のうち20代はおよそ12%でした。
逆にいえば、残りのおよそ88%は30代、40代あるいはそれ以上の方です。
合格者の平均年齢は40歳を超えています。
司法書士試験は年に1回の一発勝負で、学歴・国籍関係なしで受験できます。
ということは、社会人としてどっぷり生活している人であっても、受験するための敷居は低いです。
結局のところ、現在の司法書士試験について少々乱暴にくくっていえば、「中年世代の一発逆転資格」ではないかと思っています。
社会人経験は、ないよりあったほうが依頼者とのお話の中身も、より豊かになります。
司法書士という資格を持って、司法書士事務所などでに勤めてもいいですし、独立開業して自分の事務所を持つこともできます。
どのような働き方をするか、人それぞれ異なってきますが、たとえば、ワークライフバランスを保ちながら、法律の専門家として、スーツを着ながらする仕事で収入を得たい人には、魅力的な資格だといえます。
まとめ
というわけで今回は、
というお話をいたしました。
この記事を最後までご覧いただきましてありがとうございました。