司法書士試験に合格できない理由を考えてみた【よくある5つの共通点】
今回は、主に働きながら司法書士試験に合格するために、学習を進めたいと考えている方に向けた記事になります。
「合格するための実力がなかなか伸びない!」という方には、いくつかの共通した傾向があります。
今回は「5つの共通点」をご紹介して、その対応策についても述べてみたいと思います。
この記事の筆者
司法書士事務所を開業して今年で10年経ちました。
日々の業務をおこなっていて、感じたこと考えたことを動画でお話ししています。
この記事の概要
そもそも司法書士試験に向いていない人
司法書士試験に向いていない人はいると思います。
というのも、司法書士試験は、何回も繰り返して頭に知識をインプットさせることが必要になってくるからです。
ご存知の方もいると思いますが、司法書士試験は11科目の法律分野が出題されます。
出題形式は、択一式の問題と、登記法という法律の知識を試す、記述式の問題が出題されます。
どんな知識が問われるかといえば、「法律の条文」と、過去の裁判の「判例」、「主要な学説」、法務省が実務の指針として公表している通達などの「登記先例」といった知識が幅広く問われる試験です。
ですが、弁護士のような論文試験はありませんので、論理的な深い思考はそれほど必要ではありません。
ということは、広く浅くというと言い過ぎですが、そこそこ深めの知識を幅広く問われる試験ということができます。
ただし、過去の本試験から出題傾向は大体決まっています。
よく出てくる論点、たとえば、司法書士試験対策のテキストの中でここはよく出ますよ!と書いてある論点を中心に、覚えることが重要になってきます。
司法書士試験の学習を始めた最初のうちは、本当に初めて目にする法律の条文ばかりで、新鮮な気持ちで学習できます。
ですが、出題範囲を1回転・2回転くらい学習すると、あとはテキストや参考書で頭にインプットして、過去問題集や模擬試験などでアウトプットするという、繰り返しの作業をしていくことになります。
というわけで、簡単にいえば根気強さがいるということなんです。
試験に合格するまで、インプットとアウトプットという、ある意味シンプルな作業を、繰り返しこなせるようなマインドを持てる人は、学習を続けることできるはずです。
学習が習慣になっていない
ほぼ毎日学習することが習慣になっていないと、残念ながら、合格のための知識はそれほど積み上がりません。
もちろん、いわゆる天才と呼ばれる人は別です。一度勉強したらすぐ覚えて忘れない人はまれにいますが、そんな人は別格です。
でも、例えば、筆者のような凡人だと、時間をかけて勉強しないと、本試験に合格するための幅広い知識を、頭の中に定着させることは難しいですね。
エビングハウスの忘却曲線
ここでご紹介したグラフがあります。
記憶の中でも、中期や長期の記憶をどれだけ覚えていられるか、ということを示した有名なグラフがあります。
エビングハウスの忘却曲線と呼ばれているものです。
グラフのタテ軸が覚えている割合で一番上が100%、ヨコ軸に学習後の日数という、2次元グラフです。(↓下記グラフ)
グラフの左端は記憶したばかりの状態ですから、覚えている割合は100%の状態です。
あとは時間が経つとともに記憶が失われていきますので、右肩下がりの曲線のグラフになっています。時間が経てば経つほど、同じことを覚え直すための時間も多くかかります。
ここではそんなに詳しい解説しませんが、一度学習したことはずっとは覚えていられない、ということです。
その代わり、時間がそれほど経たないうちに復習することで、記憶は定着しやすくなっていきます。
しかも、何回も覚え直すことで、その後の記憶の定着率も良くなってきます。(↓下記グラフ)
ということは、司法書士試験の出題範囲の学習を、繰り返しやっていくためには、学習はできれば毎日、それなりの時間を用意した方が良いということが言えるはずです。
資格予備校も学習時間の目安を公表しています
でも、このようなことを言う人もいるかもしれません。
「学習時間だけではなく、効率の良い学習法だったらそんなに長時間勉強しなくてもいいのではないか?」
そうですね。”効率的に合格に必要な実力を身につけることができます”とうたった資格予備校の宣伝文句は、よく見かけます。
ですが、そのような「効率的な勉強法」をうたった資格予備校のカリキュラムでも、ホームページやパンフレットに、一日の学習時間の目安が書いてあります。
そうなんです、大抵の場合は、一日あたり2〜3時間以上は勉強時間をとってくださいと書いてあります。
つまり、効率的な学習法を提供しているはずの資格予備校でも、毎日の学習時間はとってほしいと希望しているのです。
というわけで、試験に合格するための知識を積み上げて、さらに補強していくためにも、学習時間はできれば毎日とりましょう、ということになってきます。
仕事が忙しすぎる問題
「仕事が忙しすぎる問題」はあると思います。
仕事が忙しすぎて、勉強する時間が全然取れないという問題です。
週に1〜2日は学習時間確保のためにできること
ところで、あなたが会社勤めでしたら勤務先にこんな方いませんか?
「今日は趣味の習い事がありますので帰ります。」と言って、夕方5時に帰る人です。
この人は、べつに何も悪いことしていないですよね?
じゃあ、司法書士の勉強はダメなんでしょうか?・・そんなことはないはずです。
あるいは、最近は会社によっては、「自己研鑽のための社外活動に時間を使ってもよい制度」を設けている会社もあります。
会社によって呼び名は異なりますが、「キャリアアップのためのサポート制度」といった社内制度です。
あなたがお勤めの会社がこういった会社でしたらラッキーです。
週に1日か2日か、できればそれ以上に学習するための日を作って、定時に帰ることで学習時間を作っていく方法はあると思います。
仕事を一時的に辞める・転職する方法もある
でも、「そうではなくて、毎日学習時間をとりたい人はどうするんだ?」というご意見もありそうです。
毎日学習時間を取りたい人はどうすれば良いかといえば、たとえば、人によってはスパッと期間を決めて仕事を辞めてしまう人はいます。
資格試験の受験生の中には、昔からそういう人はいます。期間限定で専業受験生になるという方法です。これでしたら一日中、試験勉強をすることができます。
でも、それだと生活が成り立たなくなるし、生活費を稼がないと困ってしまうという人もいると思います。
そのような方でしたら、もし現在のお仕事にそれほどの思い入れがないのでしたら、思い切って転職してしまうのも一つの手段かもしれません。
もちろん選ぶべき転職先は、そんなに激務ではない、定時にあなたが帰宅することに理解のある会社を選ぶことになります。
というわけで、あなたの置かれた状況に応じて、学習時間を確保する方法はあると思っています。
誘惑が多すぎる問題
生活をしていると、いろんな誘惑がありまして、ついつい時間を浪費してしまうことは私もあります。
誘惑といえば、ざっくりと分けて2種類のタイプがあります。
古いタイプの誘惑と新しいタイプの誘惑の2種類です。
古いタイプの誘惑「飲み会・ギャンブルなど」
古いタイプの誘惑といえば、ありきたりなものになりますが、たとえば、「飲み会」とか「パチンコみたいなギャンブル」もあります。
これらは、あなたの生活の中で、重要なことでもなければ、急ぎの用件でもないはずです。
というわけで、くだらない飲み会だったら断ればいいですし、ギャンブルで儲ける才能がないのでしたら、司法書士試験の勉強に時間を使った方がかなり有益です。
このような不要不急の誘惑は、キッパリ断ったり、辞めてしまえばいいのですが、もうひとつ新しいタイプの誘惑もあります。
新しいタイプの誘惑「スマホ」
最近になって、1日の時間のうち、かなりの部分を消費しているものは何かといえば、「スマホ」になります。
新しい誘惑と言っても、スマホが普及してから何年も経っていますので、もはや定番と言ってもいいでしょう。
もちろんスマホ自体が悪いと言いたいわけではありません。電話やメール、ラインなど、他の人と連絡を取るための大切な通信機器であることには変わりありません。
問題となるのは、決してひまではないのに、ひまつぶしのようにスマホを使ってしまうことです。
ひまつぶしの代表例としては、「SNS」・「ゲーム」・「マンガ」・「ニュースアプリ」など、いろいろなアプリやサイトがあります。
私も、新聞の電子版なんか読んでいますが、それ以外はツイッターやYouTubeなんかもよく見ています。
スクリーンタイム画面でアプリの利用時間を把握
スマホにはスクリーンタイムという機能がついていまして、その一日、どのアプリを、どれくらいの時間使っていたか、確認することができます。
以前、このブログの別の記事(自分で自由に使える時間を増やして司法書士試験の学習に打ち込む【スキマ時間に頼らない】)でもご紹介しています。
スクリーンタイムの画面を見たことがある方も多いとは思いますが、せっかくですからもう一度じっくり見ることをおすすめします。(↓)
どんなアプリにどれくらい時間を取られているのか、ハッキリわかってきます。
アプリの通知をオフにする
スマホのスクリーンタイムをじっくり見て、分析が終わりましたら、やることは一つです。あなたの学習時間を奪っているアプリの通知はオフにしてしまいましょう。
あるいは、あなたの生活の中で大した意味がないアプリでしたら、消してしまった方がいいかもしれません。
あと、学習時間の間はスマホは電源オフにして、カバンに入れてしまった方がいいです。スマホの存在を忘れるくらいでちょうどいいのではないかと思っています。
マナーモードにして音を消したとしても、バイブレーション・振動で通知が来るとどうしても気になってしまいますから、勉強中はいっそのこと電源オフにした方が良いです。
私も、ブログの記事を作っているときなんかは、スマホは別の部屋に放置して、作業の邪魔にならないようにしています。
というわけで、飲み会は断る、ギャンブルはやめる、時間を浪費しているスマホアプリを特定して通知をオフにする、学習中は電源オフにすることをおすすめします。
関連記事
自分で自由に使える時間を増やして司法書士試験の学習に打ち込む【スキマ時間に頼らない】
合格する年度を決めていない
いきなりで申し訳ないのですが、司法書士試験に合格する年度を決めずに、いつか合格すればいいや、と思っていると、なかなか合格しないのが実情です。
「今年がダメだったらまた来年。」とか、「あと数年のうちに合格すればいい。」と思っていると、それだけで学習のテンションは無意識のうちに下がってしまいます。
この記事の前半のほうで、「学習時間を取るようにしましょう!」とお伝えしていますが、それでは長年学習を続けていれば必ず合格するのか?といえば、そうではありません。
いつまでに絶対に合格するんだという期限を作った方がいいですよ、ということです。
そうすることで、学習に対する集中力に差が出てきます。
今年合格しないとマズイ、来年も勉強を続けるのは嫌だ、という強い思いがあると、何がなんでも合格するためには、どの科目をどれくらい学習しなければいけないのか、やるべきタスクに集中するようになってきます。
これはいわゆる「締め切り効果」とも言います。
筆者はサボってばかりでした【経験談】
私の経験でもそうです。
私は4回目の受験でようやく合格しましたが、最初の3回目までは、勉強をサボってばかりいました。
まだ、スマホは世の中になかった時代ですが、暇潰しできる場所はありました。
大きな本屋で立ち読みしたり、ゲームセンターに立ち寄ったりとか、サボっていたことが多かったです。
でも4年目になって考えました。
「このままではマズイ。このままでは万年受験生になる。いつまでもこれでいいのか?家族は黙っているけど気にしているに違いない。」
このように考えてから、4年目は、毎日、執念みたいなものを燃やして机にかじりついて勉強して、なんとか合格できました。
まだ実力不足ではないかと思っている人
あと、「ある程度は問題が解けるようになってきたけど、まだまだ合格レベルではないので、今年の試験は無理かな?」と感じている人はいると思います。
そうですよね。私も以前はそのような受験者の一人でした。
ですが、今は実力がちょっと足りないと自分では感じていても、それでも合格する年度を決めてしまうのです。
そして、司法書士試験までの期間がどれくらい残っているのか計算してみます。
次に、その残りの期間で、できることは何なのか思い浮かべてみます。
- まだ足りないものは何なのか?
- それはテキストや問題集などをやり直すことなのか?
- 苦手な科目をカバーすることなのか?
- 学習時間が足りないのか?
そのようなことを考えると、試験日までのロードマップがはっきりしてきます。
あとはそれを実行しましょう。
というわけで、司法書士試験の学習をするときは、合格する年度を最初に決めておくことをおすすめします。
まとめ
今回は、合格するための実力が伸びない人の5つの共通点というテーマで、
というお話をいたしました。
この記事を最後までお読みくださいましてありがとうございました。
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