司法書士のお仕事は楽なのか?つらいのか?独立開業している司法書士が解説します。

タイトル画像ー司法書士の仕事は楽なのか?つらいのか?

インターネットで流れているうわさ話なんかをみていますと、司法書士は役所に提出する書類をお客さんの代わりに作って、それで報酬をもらうのだから楽な商売じゃないの?と思う人もいるようですが、実はそんなことはありません。

今回は、司法書士事務所を運営していて、楽なこと・つらいこと・へこんでしまうことをピックアップしてお話してみたいと思います。

将来、司法書士事務所を自分でやってみたいなと思っている方にも役立つお話だと思っています。

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この記事の筆者

司法書士事務所を開業して今年で10年経ちました。

日々の業務をおこなっていて、感じたこと考えたことをブログで述べています。

この記事の概要

お仕事はカンペキで当たり前

司法書士のお仕事は、基本的にカンペキさが求められます。ミスが許されないのでつらいです。

司法書士の仕事といえば、最初に思い浮かぶものは何かといえば「登記」になりますが、その登記を例にあげながらお話ししたいと思います。

司法書士が取り扱う登記の仕事といえば、不動産の登記と、会社の登記があります。

登記というのは法務局という役所でその記録が管理されているのですが、会社を設立する登記のように新しい会社の登記簿を作ってもらったり、不動産の所有名義の移転の登記のように、すでに存在する登記の内容を書き換えてもらう登記もあります。

ところで、不動産の登記・会社の登記は、登記関係の法令であらかじめ定められた事項を登記することになっています。

自由になんでも登記できるわけではないのです。

登記できる事項はルールで決まっている

不動産登記記録例(抜粋)
不動産登記記録例(抜粋)
商業登記記録例(抜粋)
商業登記記録例(抜粋)

不動産の登記には「不動産登記記録例」、会社などの法人の登記でしたら「商業登記記録例」という資料があります。

これは何かといえば、法務省が、登記の種類ごとに登記簿(登記記録)に記載するときのひな型を示した資料です。

「登記をするときは、このように書いてくださいね」という書き方を定めた分厚い資料集です。

こんな資料集を法務省が作成して、登記簿に記載される内容をこと細かく定めているくらいなのです。

自由になんでも登記できるわけではなく、法令で決まった事項だけを登記するということは、逆に言えば、誰が登記申請したとしても、登記が終わった後の仕上がり具合は変わらないということが言えます。

誰がやっても登記の仕事は結果が同じということです。

ですから、司法書士が依頼者から仕事を引き受けたけど、最終的に登記ができませんでした、ということは基本的にはあり得ないのです。

もし、依頼者のリクエストが「もともと実現が難しいもの」でしたら、その仕事を引き受ける前に、司法書士のほうから先に、そのリクエストは実現できないと回答しておかないと、あとで依頼者との間でトラブルになります。

たとえば、不動産の取引を例にあげますと、不動産売買ではそれなりの大金が動くことが多いです。

そのような不動産の所有名義の移転を登記申請をする仕事で、確認不足が原因で、お客さんから預かる書類が足りなくて、登記ができなくなってしまうと大変なことになります。

不動産の売買でしたら、仕事の依頼を引き受けた司法書士は、売主・買主などの本人確認をしっかりおこなって、登記申請をするために必要な書類もカンペキにそろえて、ミスなく登記のお仕事を完了させる責務があります。

「司法書士って、役所に書類を出すだけの仕事でしょ?」と思っている人もいるかもしれませんが、ミスを許されない状況が多くて、結構神経を使う仕事ですので、決して楽な仕事ではありませんよ、ということをお伝えしたいと思います。

法律の専門家として信用がある

信頼のイメージ画像

司法書士という職業をやっていて、楽というか、助かるなあと感じることは、それなりに社会的な信用があることです。

司法書士のことを知っている方は、国家資格を持った法律の専門家だと思ってくれます。

そんなことから、司法書士に依頼してくださった方は、不動産の権利証とか印鑑証明書・住民票のような大切な書類を、司法書士にポンと預けてくれます。

この信用というのは、勝手に湧いてきたものではなくて、これまでの司法書士の活動や仕事ぶりに対して、世間の人たちが評価をしてくれたことで、積み上がってきた信用だと思っています。

言い方を変えますと、自分以外の大先輩の司法書士の方々が、これまでしっかりと業務をおこなってきたことで、社会的な信用を獲得してきたといえます。

筆者も司法書士ですが、たとえば私が依頼を受けた仕事でいい加減なことをやっていると、私が罰を受けるだけではなくて、業界全体の信用を傷つけることにもなりかねません。

ということで、これからも司法書士を信用してお仕事を任せてもらえるように、自分で自分を戒めながら仕事にあたっていきたいと思っています。

司法書士が行政書士と間違えられる問題

ここで、ちょっとお話が変わるのですが、「司法書士が行政書士と間違えられる問題」という現象があります。

司法書士と行政書士はなんとなく名前が似ていますので、世間一般の方から見ると、同じようなものだと思われているのかもしれません。

筆者(司法書士)もときどき行政書士と勘違いされて、行政書士の仕事を頼まれそうになることがあります。

たとえば、「外国人の在留ビザの申請」とか、「お酒の販売免許の申請」といった仕事を、お客さんに頼まれそうになります。

そんなときは、うちは司法書士事務所でそういうのは取り扱っていませんので、行政書士が適任ですよと答えています。

この記事では、司法書士と行政書士の違いについて、お話ししたいわけではありませんので、その話題に興味がある方は、こちらの記事(司法書士と行政書士は違う資格です)もお読みください。

ここで私が言いたいのは、たとえ司法書士が行政書士と勘違いされてしまったとしても、そのまま信用してくれる場面がある、ということなんです。

ほかにも、筆者(司法書士)は税理士と勘違いされることもあります。もう勘違いばかりされています。

勘違いされたときは、司法書士と税理士は違う資格なんですよ、税金の相談は税理士の先生にされたほうが詳しいですよ、と説明しています。

お話がいろいろ飛んでしまいました。

お客さんは他の士業にも信用を持っている

ここでは司法書士と行政書士、税理士を引き合いに出しましたが、それぞれの資格で仕事をされている先生の皆さまが、依頼者にしっかりと向き合って業務をしてくれているからこそ、筆者が行政書士・税理士と勘違いされても、なにかの法律の専門家として最初からある程度の信用を持ってもらえている、そのように私は強く感じています。

というわけで、司法書士は法律の専門家として、最初からある程度は信用を持ってもらえますので仕事を進めやすいです。

たとえ、他の士業と勘違いされたとしても、信用がそれほど変わらないのは、それぞれの資格を持った専門家の先生が、日頃から真面目にお仕事をされているからだろうなと、私は思っていますし、そのことに感謝もしています。

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司法書士と行政書士は違う資格です

自営業は収入の浮き沈みがある

アップダウン

司法書士は独立開業することができる資格ですが、その場合は自営業ということになりますので、自分の収入は、仕事の量と、その仕事に支払われる報酬によって変わってきます。

つまり、独立開業したときの司法書士の収入は、浮き沈みがありますよ、というお話です。

自営業と聞くとなんだかフリーランスみたいで気楽な商売のイメージがありますが、二つの意味で楽ではないです。

仕事がない時期もあります

一つ目は、自営業は誰からもお給料はいただけませんので、自分で営業努力をして、ときにはコネを使ったりして、仕事を取ってきて、そして依頼者から報酬をいただくほかありません。

独立開業している自営業ですから、仕事がある時期もあれば、その反対に仕事がない時期もあります。

仕事ない時期は、どうなるかといえば収入も落ち込みますので、気持ちが凹むことがあります。

でも、自営業をやっている以上、こんなことはよくあるものだと思って、一時的にぱったり仕事がない時期があったとしても、それにめげない強いメンタルは必要になってくると思います。

仕事って同じ時期に集まります

司法書士が楽ではないもう一つの意味ですが、先ほどお話しした、仕事がない時期ではなくて、仕事がたくさん集まってきた時期のお話になります。

一年中ムラがないように分散して、あくせくしなくてもいいペースで順調に仕事が来て欲しいと願っているのですが、お仕事はどういうわけか同じ時期に一挙集中することが多いです。

司法書士の場合は、3月・9月・12月あたりにお仕事の依頼が増えることが多いです。年度末や半期末、年末にお仕事が集まる傾向があります。

一挙集中するとどうなるかと言えば、残業も当たり前になりますし、下手すると土日などの休日も仕事で潰れてしまいます。つらいです。

開業している司法書士は自営業ですから、そもそも残業という概念が当てはまるかどうかは分かりませんが、仕事が重なってくると、通常の営業時間をはるかにオーバーして働くこともある、ということです。

ときには、超特急でやってほしいという仕事の依頼が飛び込んでくることもあります。一年に数回はあることです。

そうなると徹夜でがっつり仕事をすることもありますので、日頃から、酒ばっかり飲んでいないで、睡眠もできるだけ十分にとって、体調を良くしておかないといけません。

仕事が重なると時間的にも体力的にも負担がかかりますが、そのかわり事務所の売り上げは伸びますので、シンプルに嬉しいです。

本音を言いますと、たとえ忙しかったとしても、売り上げが良くなれば、つらい思いも吹っ飛びます。

仕事がなくて凹むよりは、仕事があってあくせく働いていた方が、精神的にはそちらの方が楽だよねー、と思っています。

あとは、あなたが思うところのワークライフバランスとの折り合いを、どのあたりでつけるか、自分で自分に相談することになります。

ということで、司法書士になって独立開業を目指したいのでしたら、売り上げがないときでも凹まない強いメンタルを持ちましょうというお話でした。

まとめ

今回は、「司法書士のお仕事は楽なのか?つらいのか?」というテーマで

以上の3つのお話をいたしました。

お仕事はカンペキで当たり前なので、ミスが許されない場面が多くて司法書士はあまり楽ではありません。

でも、法律家の専門家として、最初からある程度の信用を持ってもらえますので、お仕事を進めるのが楽な場面もあります。

自営業は収入の浮き沈みがあるので、売り上げが少ない時期があっても、凹まない強いメンタルを持ちましょう。

この記事を最後までお読みくださいましてありがとうございました。

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