司法書士の仕事は本当につまらないの?やりがいはあるの?

仕事中

司法書士の仕事についてインターネットで調べるていると、つぎのようなご意見に出会うことがよくあります。

・・・といった感じで、司法書士にはさんざんな言説が流れています。

今回はそのような、司法書士の仕事がつまらない説について、お話をしていきたいと思います。

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この記事の筆者

司法書士事務所を開業して今年で10年経ちました。

日々の業務をおこなっていて、感じたこと考えたことをブログ記事でお伝えしています。

この記事の概要

つまらないと言い切れるほどシンプルな仕事ではない

とは言いましても、司法書士の仕事といえば「登記」です。

ここでいう登記は、「不動産登記」と「会社・法人の登記」のことですね。

登記がメインの事務所って、定型的な手続きの仕事で、どの司法書士が申請しても結果は一緒だから、つまらないのでしょうか?

筆者も司法書士事務所を運営していますが、仕事のほとんどはやっぱり登記です。

でも、ひとくくりに登記と言っても、いろんな種類の登記がありまして10年くらい業務を続けていると、なかなか奥深い世界であることに気づきます。

不動産登記で筆者が実際に取り扱ってきた例

  • 地役権設定
  • 工場財産
  • 信託登記 など

会社・法人の登記で筆者が実際に取り扱ってきた例

  • 有限責任事業組合
  • 投資法人
  • 宗教法人 など

上記の例は、ちょっと極端かもしれませんが、いろんな種類の登記があります。

あと、登記の種類だけではなく、お仕事を司法書士に依頼してくる方は、それぞれいろんな個別の事情を持っています。

たとえば、わりとありふれた登記である「株式会社の役員変更登記」であっても、会社によっていろんな問題を抱えている場合があります。

役員変更登記でよくある問題

  • 役員の任期がずいぶん前に切れている
  • 遠方に住んでいる役員から押印をもらえない
  • 会社の定款がないので、役員の任期や、代表者の選任方法がわからない
  • 会社の代表印が行方不明 など

結局のところ、まったく全く同じ内容の案件というのは一つとしてありえないのです。

そのようなことから、お客さんの事情にひとつひとつに応じて、受託したお仕事を進めていくことになります。

お客さんの個別の事情に応じて、どのような手続きをするのか?どのような書類を揃えていくのか?・・・

・・そんなことを考えながら、「真剣勝負のナゾ解きを毎回やっている」ともいえますので、一概につまらないとは言えないですね。

司法書士には、登記以外にも色々な仕事がある

司法書士には、登記以外にもいろんなお仕事があるのですが、ここでは代表例として、裁判業務・成年後見業務・企業法務についてお話しします。

裁判業務

もともと、すべての司法書士は、「裁判所に提出する書類の作成」を業務としておこなうことができます。

あと、一定の認定試験(簡裁代理認定考査)を受けて合格した司法書士(認定司法書士)は、簡易裁判所で取り扱われる比較的少額の事件に限られますが、依頼者の代理人として、相手方と交渉したり、裁判所に出廷したりすることができるようになります。

認定司法書士という、簡易裁判所で代理人活動ができる司法書士の存在は、世間一般ではあまり知られていません。

認定司法書士が、どんなことができるかと言えば、

私の実例では、貸金の返還請求とか、過払金の返還請求、賃貸不動産の明け渡し事件など、けっこういろいろできます。

貸したお金が返ってこないとか、家賃の支払いが滞納しているとか、そういった事件で身近に相談できる相手がいない方でしたら、お近くの司法書士に相談することもできるのです。

成年後見業務

成年後見業務というものもあります。

成年後見というのは、ほとんどの場合は、認知症になってしまった方が、自分で財産の管理ができないときにおこなわれます。

選ばれた成年後見人が本人に代わって、預貯金などの財産管理や、施設に入所するときの契約とか、不動産の処分などを家庭裁判所の監督のもとでおこなうことができます。

成年後見人は、関係者の申し立てによって家庭裁判所が選任するのですが、息子とか娘といった身内の方が成年後見人になることが多いです。

ただし、そのような親族が身近にいない方も世の中にはたくさんいます。

お子さんがいない方とか、身内の方が近くに住んでいないため日常的に面倒を見ることができないとか、そういった事情から、身内の方が成年後見人になれないケースがあります。

そのような場合、司法書士といった法律の専門家が、成年後見人になることがあります。

企業法務

企業法務というお仕事もあります。

これは、司法書士だけができるという仕事というわけではありませんが(弁護士事務所でも取り扱っているところは多いです)、会社登記を取り扱っていることから、ついでに発生することが多い仕事です。

もちろん、登記に関係なく企業法務の仕事が来ることがあります。

規模の小さい会社でしたら、顧問弁護士なんてものはいないことがほとんどですので、身近な相談相手として会社の登記をやってくれた司法書士に話が行くことがあるのです。

私の経験上ですが、けっこういただくことが多い相談は、つぎのとおりです。

  • 「株式譲渡の手続きってどうすればいいのですか?」
  • 「株主名簿ってどうやって作ればいいのですか?」
  • 「外部と締結する契約書の事前チェック」
  • 「会社の社内規程を作りたいけど相談したい。」

などいろいろあります。

司法書士だからといって会社の登記だけやっているわけではありません。このように登記とは関係のない、いろいろな相談をもらうことがあります。

その中でできそうなものがありましたら、丁寧にお話を聞いて、きちんと報酬もいただいて、書類を作ったりアドバイスを送ることもあります。

そして、依頼者に満足してもらえるように頑張って仕事をします。

年収が低そうだからつまらない問題

コインとその上に座る人

以前、司法書士の年収について別の記事で述べたことがありますが(司法書士の年収について統計資料をもとに解説します【年収以外の魅力も】)、ぱっと見ただけの平均年収を見ると、ものすごく高収入というわけではないようです。

ただし、収入を増やそうと思うのでしたら、それは本人のちょっとした心がけで変わってきます。

司法書士といっても、大きく分けて2種類の司法書士があります。

事務所に勤務するサラリーマン司法書士と、独立開業して自分で事務所を運営している司法書士です。

勤務司法書士(サラリーマン司法書士)

事務所に勤務する、いわゆるサラリーマン司法書士で高収入を狙うのでしたら、仕事内容ではなく、もらえる給料の額で事務所を選ぶということになります。

給料で選ぶわけですから、自分がやりたい業務内容でなくても、それはそれで仕方がないと割り切ればいいのです。

とはいえ、事務所に勤めてみると、給料面で最初聞いていた話と違う、仕事内容が思っていたものと違っていたということはあります。

そのようなことに直面して、もし納得できないのでしたら、もうそのときはつぎの新天地に進む、つまり転職を検討したほうがいいかもしれません。

転職の自由は大事ですね

転職活動といいましても、求人情報を探して、応募して、さらに面接を受けるプロセスがありますので、それなりに面倒くさいです。

でも、より良い仕事の環境を求めるために、ちょっとした努力は必要になりますので、めげずにトライしましょう。

あと、筆者が他の司法書士を見ていて言えることですが、ひとつの事務所でずーっと勤め上げる司法書士はむしろ珍しいです。

事務所を渡り歩いている司法書士は結構いますので、めんどくさがらずに、こっそり転職活動するのもありです。

司法書士事務所の経営陣からよく聞かされるお話というかグチですが、「司法書士を募集しているけど、応募がぜんぜんこない。」というお話はよく聞きますよ。

というわけで、あなたが活躍できるフィールドは、自分で探せばいろんなところで見つけることができますよ!ということをお伝えしたいのです。

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高収入を得たいのでしたら独立開業

身もふたもありませんが、独立開業でしたら他人から収入を制限されることはありません。つまり収入の上限はないです。

一応、独立開業の「メリット」と「デメリット」をあげておきますと次のとおりです。

独立開業のメリット

事務所の売り上げから、事務所の運営にかかる経費などを差し引くと、残ったお金は全てあなたの収入になります。

独立開業のもう一つのメリットですが、ある程度自分のペースで仕事ができる、うるさい上司やめんどくさい同僚もいない、ということもあげられます。

このあたりは、精神衛生上、大きなメリットかもしれませんね。

独立開業のデメリット

当たり前のことになりますが、仕事を得るのになにかしらの営業活動は避けて通れません。

自分で事務所を運営するわけですから、いろんな経費(家賃・光熱費・PC・コピー機・書籍代・人件費など)は自分で支払うことになります。

事務所開設のために金融機関から借り入れをしたのでしたら、その返済も必要になります。

とはいえ、先ほどいいましたとおり、自分の裁量で仕事ができるというのは、独立開業の最大のメリットですね。一度始めるとやめられないくらいです。

つまらないと言う人がいても完全スルーでOK

青信号

実は、ほかの現役の司法書士から「仕事がつまらない」という言葉を、筆者はあまり聞いたことがありません。

「つまらない」といっている人の背景を見ると、だいたい次のような人たちです。

司法書士事務所の元職員・元受験生、元司法書士とか、そんな人たちです。

そういえば、筆者は20代のときに勤めていた司法書士事務所を、半年も経たずに辞めましたので、そのとき(20代だったころの筆者)はたしかに事務所の元職員という立場でしたね。

そのころ、親などに事務所を辞めた理由を聞かれることがありましたが、どのように答えていたかといえば、「司法書士事務所の仕事がつまらなかったから」といっていましたね。(本当です)

つまり、「司法書士の仕事がつまらない」という話をしている人は、そんな人たちなんです。

というわけで、司法書士の仕事がつまらないと言う人がいても完全スルーでOKです。

あなたが司法書士の世界を目指しているのでしたら、うわさ話なんて気にしなくても全然問題なしです。

そんなことを気にすることなく、自分の道を進んだほうが良いですね。

まとめ

というわけで今回は、

というお話をいたしました。

最後までこの記事をご覧いただきましてありがとうございました。

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