【2300万筆説】相続登記の義務化で司法書士の仕事は増えるのか?

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先日、法律の改正によって、数年以内に相続登記が義務化されて、罰則も導入されることになりそうです、というブログ記事を公開しました。

関連記事:相続登記の義務化と罰則の導入について司法書士が解説します

ところで、相続登記が義務化されると、相続登記をする人は増えますが、どのくらい増えるのでしょうか?

今回のブログでは、相続登記の件数は本当に増えるのか?相続登記の件数が増えるとどうなるのか?司法書士の仕事は増えるのか?

そんな疑問にお答えしたいと思います。

この記事の筆者

司法書士事務所を開業して今年で10年経ちました。

日々の業務をおこなっていて、感じたこと考えたことをブログで述べています。

この記事の概要

相続登記の義務化で相続登記の件数は増えます

野山と家

結論から言いますと、相続登記の件数が増えますので、司法書士が相続登記を依頼されるチャンスは広がります。

相続登記の件数が増える可能性が大であることは、これからご紹介するいろんな数字からわかります。

所有者所在不明土地が約20%もある

いきなりで申し訳ないのですが、

2016年(平成28年)に、国土交通省がおこなった「地籍調査」によると、調査した土地の約20%が、登記簿だけでは「所有者の所在が不明」であることが分かったそうです。

調査対象は、558の市区町村の1130地区で、合計約62万筆の土地です。

そのうち20%の土地について、所有者が誰なのか、あるいはどこにいるのか不明だったというのです。

調査した土地62万筆の20%といえば、約12万筆になります。

「地籍調査」というのは、国土調査法という法律にもとづいて、昭和26年から全国の土地を対象にして、長年にわたっておこなわれている調査です。

調査の内容は、土地の所有者・地番・地目を調べて、土地の位置や境界の測量をするものです。

「所有者の所在が不明」の原因は大きく分けて三つあります。

  1. 相続登記をしていない(約67%)
  2. 土地を売買したのに買主に所有名義を移していない(約1%)
  3. 土地の所有者の住所が変わったのに住所変更登記をしていない(約32%)

所有者の所在が不明である3つの原因のうち、「相続登記をしていない土地」は約67%、つまり3分2の割合になっています。

2016年の地籍調査によって、調査した土地は全部で62万筆でしたが、そのうち20%のさらに67%(3分の2)はどれくらいになるかというと、約8万筆です。

というわけで、この8万筆という数字が、相続登記の件数にどれくらいのインパクトになるのかさっそく調べてみました。

相続登記の件数へのインパクト

1年間の土地の相続登記の申請件数は、「登記統計」という法務省が出している資料で公表されています。

その資料を見ると、2019年度(令和元年度)の相続登記の件数は、約101万件でした。土地の数ベースでは約446万筆になります。

これに対して、国土交通省の地籍調査でわかった「相続登記をしていない土地」は8万筆です。

この数字だけを見ると、年間の相続登記件数の数パーセントに過ぎませんので、たいしたインパクトではないと思えるかもしれません。

でもそんなことはありません。

ちなみに、地籍調査は、558の市区町村で行われましたが、これに対して、日本全国の市町村(区は除く)は全部で1718もあります。(2021年3月現在)

しかも、地籍調査による調査地点は、市区町村の全域ではなく、それぞれの市区町村の中のほんの一部の地区を調査したにすぎません。

ですから、相続登記をしていない土地は、国土交通省の地籍調査でわかった8万筆という数字より、はるかにたくさんあることは簡単に想像できます。

筆者の私見になりますが、まあ少なくとも、8万筆の数十倍以上はあると考えています。

日本全国の土地は約1億8000万筆

日本地図

ここでまた別の数字があります。

2016年度(平成28年度)の「固定資産の価格等の概要調書」という総務省が公表している統計があります。

この資料によると、日本全国にある土地の数は、約1億8千万筆になるそうです。

この1億8千万筆というのは、先ほどからお伝えしている、2016年に国土交通省が地籍調査した土地の数、約62万筆の290倍になります。

そうなると、同じ地籍調査でわかった「相続登記をしていない土地」が約8万筆でしたので、その290倍の土地について、相続登記が未登記であることが推測できます。

8万筆の290倍はどうなるのか、計算してみますと、答えは約2300万筆になります。

つまり、これだけの数の土地について、相続登記が未登記であると推定できるということになります。

相続登記へのインパクトまとめ

法務省の「登記統計」によると、1年間の土地の相続登記が申請された件数は、約101万件、土地の筆数ベースで446万筆(2019年度)というお話はしました。

この年間の申請件数に対して、「相続登記がされていない土地」が2300万筆以上あるという推定が正しければ、相続登記全体に対するインパクトはかなりあると言えます。(あくまでも推定ですよ!)

ただし、相続登記が義務化されたとしても、全部の土地について相続登記がきちんとされるわけではありません。

どんなに法律を作って、相続登記の義務化を進めたとしても、相続登記もなにもされずに放置されたままの土地が残ってしますことは考えられます。

昔から放置されている土地だと、自分が相続人になっていることを知らない場合があります。

土地があることを知っていたとしても、利用価値がとぼしい土地だと、相続登記にかかるコストを負担したくないので、そのまま放置してしまうこともありますね。

とはいえ、相続登記の件数はかなり増えそうですね。

次のセクションでは相続登記の件数が増えるとどうなるのか?そのお話をします。

相続登記の件数が増えるとどうなるのか?

打ち合わせ

相続登記の件数が増えると、どうなるのでしょうか?

まず最初に一番忙しくなるのは、登記の専門家である司法書士でしょうか?

いや、たぶんそうではないですね。

もちろん、いきなり司法書士に相続登記のお仕事を依頼する方もいると思いますが、おそらく、最初に一番忙しくなるのは法務局(登記所)の相談窓口ですね。

というのも、「まず自分で相続登記をやってみよう!」と考える方は、かならずいますので、相続登記ブーム(?)がやってきて、まず最初に忙しくなるのは法務局の相談窓口だと思っています。

もちろん登記の専門家に依頼する方もいます

じゃあ、司法書士には依頼は来ないのか?といえば、そんなことはないと思います。

まず最初に、「自分で相続登記してみよう!」と考えて、それから法務局(登記所)にも問い合わせしてみたけど、いろいろな理由から、つまずいてしまう方がいるからです。

つまずいてしまう理由は人によって様々です。

そのような様々な理由から、専門家に手続きを頼んだ方がいいかな?と考える方もいるはずです。

というわけで、巡りめぐって、結果的に司法書士が相続登記の依頼を受ける件数も多くなると思います。

お困りごと・お悩みごとを解決するのが専門家の役目

ご依頼者は相続登記のことで何かに困って、それで司法書士に依頼するわけですから、その「お困りごと」や「お悩みごと」を解決するのが、法律の専門家の役目になってきます。

たとえば、

こんな感じで、依頼者の代わりに司法書士がいい仕事をして、スピーディかつ正確に手続きを終わらせることができれば、ご依頼者様の満足につながってきます。

いい仕事をすることで、お客さんからの信頼を高めることができれば、ゆくゆくは相続登記だけでなく、クチコミとかリピートでさらに次の仕事につながってくることもあると思っています。

まとめ

というわけで、今回は、

というお話をしました。

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