2021年司法書士試験の出願者増加で競争激化?いいえそんなことはありません

司法書士の出願者数が増加したお話しータイトル

2021年度(令和3年度)の司法書士試験の出願者数が法務省のホームページで公表されました。

前年度と比べて557人増加していますが、司法書士試験の合格率は毎年それほど変わりはありませんので、出願者数が増えても減っても、実はそれほど影響はありません。

今回の記事では、2021年度までの出願者数の推移について解説するとともに、司法書士試験の合格率の「かなり気になる変化」についてもお話ししたいと思います。

この記事の筆者

司法書士事務所を開業して今年で10年経ちました。

日々の業務をおこなっていて、感じたこと考えたことをブログで述べています。

この記事の概要

令和3年度の司法書士試験の出願者が増加

さて、先日のことになりますが、令和3年度(2021年度)の司法書士試験の出願者数が、法務省のホームページで公表されています。

もうご存知の方もいると思いますが、出願者数の推移をグラフにするとこんな感じです。(↓)

司法書士出願者数の推移グラフ
年度出願者数(人)前年度比増減(人)
2021年14,988+557
2020年14,431ー2,380
2019年16,811ー857
2018年17,668ー1,163
2017年18,831ー1,529
2016年20,360ー1,394

昨年度より557人増加して、出願者数は1万4988人となっています。

最近の傾向を見てみますと、毎年、出願者数や受験者数が右肩下がりで減り続けていましたので、ようやく下げ止まったように見えます。

昨年の大幅減の反動?

覚えている方も多いと思いますが、日本国内でウィルス感染症が広がったことから、令和2年度の試験は、受験の申し込みできる期間や、試験日程が延期になってしまいました。

このようなゴタゴタが続いた影響から、令和2年度(2019年度)の出願者数は2000人以上も出願者が減ってしまいました。

昨年の反動で、令和3年度は「昨年の受験をキャンセル人たちが戻ってきただけ」と言えるのかもしれません。

ところで、受験者数が増えると、もちろん競争相手が増えますので、「その分だけ試験に合格することが難しくなるのでは?」という印象を持つ人もいるかもしれませんが、実はそんなことはありません。

どうしてなのか、そのことについては、次のトピック(↓)で解説したいと思います。

合格率は毎年ほとんど変わらない【逆にUPの可能性も】

司法書士試験は出願者の数が増えたとしても、毎年の合格率はほぼ一定です。

出願者数に対して合格率は、毎年だいたい3%台で推移しています。(↓)

合格率の推移グラフ
注:上記の合格率は出願者数に対するものです。
年度合格率(約)
2020年4.1%
2019年3.5%
2018年3.5%
2017年3.3%
2016年3.2%
注:上記の合格率は出願者数に対するものです。

これは受験者数が今よりはるかに多かった時期でも大きくは変わっていません。

例えば、平成28年度(2016年度)の試験の結果を見ますと、この年の出願者数は2万人を超えていまして、今よりずっと人数は多いですが、合格率はおよそ3.2%でした。

その3年後の平成31年度(2019年度)の試験でも合格率はおよそ3.5%でした。

つまり、受験者数が増えても減っても合格者の割合はほとんど変わりませんので、毎年、何人が受験したとしても、「成績上位3%に入ることが、合格につながる道なのではないか」ということになります。

令和2年度(2020年度)は合格率が4%台に乗っています

司法書士試験の合格率は毎年だいたい3%台であるというお話をしましたが、ちょっとだけ例外はあります。

令和2年度の試験は合格率が少しだけ上がって、出願者数に対する合格率が4.1%になっています。

筆者の私見になりますが、昨年度の合格率が少しだけ上がった理由として、「司法書士全体の数を維持するために、合格者を減らす事ができないからではないか?」そのように考えています。

もちろん、これは筆者の個人的な考えです。

ただし、ある程度裏付けになりそうな資料はあります。

たとえば、2020年度の司法書士白書という資料のなかに、毎年の司法書士の新規登録者数と登録取消者数の推移というグラフがありました。(↓)

司法書士会員の新規登録者数と登録取消者数の推移
年度新規登録者数(人)登録抹消者数(人)
2018年780642
2017年775569
2016年878613

司法書士白書という資料は、日本司法書士会連合会という司法書士の全国団体が毎年出版しているものです。

このグラフの中の3年分くらいを見てみますと、毎年、だいたい700、800人くらいが司法書士として新規登録しています。

その一方、毎年、500人から600人くらいが司法書士の登録を取り消しています。

登録取り消しの理由は大きく分けて二つありまして、一つは「業務の廃止」、もう一つは「司法書士本人が亡くなった」という二つです。

ちなみに、司法書士の会員数はおよそ2万2000人で、毎年ちょっとずつ増えている状況です。

司法書士全体の人数を維持するため?

それで結局のところ、何が言いたいかといえば・・・

毎年、登録取り消しによって司法書士の人数が減っていきますので、その減った分は、毎年の合格者で補っていかないと、司法書士全体の人数を維持できなくなるおそれがあります。

司法書士の人数が減ってしまうと、日本全体で登記業務とか裁判業務など司法書士が取り扱うリーガルサービスを提供する人が減ってしまいます。

だから、合格者をやたらと減らすことはできない、ということです。

というわけで、出願者が増えても、合格率が極端に下がることはありませんし、逆に、出願者数が減少していくのでしたら、むしろ合格率がアップするチャンスがあるのではないかと、私は考えています。

まとめ

というわけで今回は、

というお話をいたしました。

この記事を最後までお読みくださいましてありがとうございます。

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