司法書士に忍び寄る危機について解説します【受験者減少・リーガルテック爆誕】

忍び寄る脅威

年々、司法書士試験の出願者が減っていますが、どうしてでしょうか?

受験者層の人口が減っただけでは説明がつかないくらいの「出願者減少」に直面しています。

ひょっとして、司法書士という資格の魅力が乏しくなってきたので、目指す人が減ったのかもしれません。

最近は、便利なWebサービスを使って、自分で登記する人が増えて、司法書士に仕事を頼む人が減ってしまった可能性もあります。

原因はいくつか考えられますが、その詳細と対処法について、わかりやすく解説いたします。

この記事の筆者

司法書士事務所を開業して今年で10年経ちました。

日々の業務をおこなっていて、感じたこと考えたことをお話ししています。

この記事の概要

司法書士試験の出願者が激減している問題

司法書士試験の出願者数が急落しています。

令和2年度司法書士試験の出願状況
法務省ホームページより

平成27年(2015年)は2万1754人でしたが、

その5年後・・・

令和2年(2020年)は1万4431人となっています。

なんと、5年間で約7000人も減ってます。

割合で言いますと3割以上の減少です。

年々減少している原因を考えると、若い人を中心に受験希望者が減っているから、ということになります。

生産年齢人口は減っています

規模の大きいお話になりますが、日本人の生産年齢人口(15〜65歳の人口)は、近年減り続けていまして、これからも減少していく流れとなっています。

そうなると、司法書士試験の出願者数も引きずられて減っている・・・このような理屈も一応は成り立ちます。

(↓)日本の人口の推移のグラフです。

日本の人口の推移
総務省ホームページより

「少子化問題」とか「労働力不足」に関する報道でも、生産年齢人口つまり現役世代として働くことが期待されている年代が減少していると、よく言われています。

司法書士試験の合格者の平均年齢は40歳に到達!

2019年度司法書士試験の最終結果
法務省ホームページより

司法書士試験と年齢の関係について目を向けると、2019年度の司法書士試験の合格者の平均年齢は、なんと40歳に到達しています。

つまり、受験者のコアとなる年齢層は、30代とか40代になってきています。

そしていつまでも、この30代とか40代の人たちが、司法書士試験の受験を続けるかと言えば、どうでしょうか?

減ることはあっても、増える事はあまりなさそうですね。

日本の生産年齢人口が減っているといっても、それは毎年少しずつですが、司法書士の受験生の人数の減り方はちょっと極端で、どうしても目についてしまいます。

はっきり言ってバランスが取れていません。なんででしょうか?

出願者が減少している理由について考えてみた

そこで、司法書士を目指す人たちが減ってきている理由について、もう少し深掘りして考えてみました。

ひとつには、「何年間も合格のために受験勉強を続けていくのがしんどいなあ・・」と思う人が増えてきた、ということも考えられます。

その一方で、「たとえ合格したとしても、その割には、大したリターンがないのではないか?」と思う人も増えてきた可能性もあります。

つまり、司法書士という資格に魅力を感じなくなってきているのではないか?という説が出てくることになります。

次の項では、そのことについてお話していきます。

資格としての魅力が乏しくなっているのでは?

資格としての魅力って何かと言えば、ズバリ「収入」を得られるかどうか、ということですよね。

そうなると、司法書士は稼ぐことができるのか、ということが問題になるのではないかと思います。

さて、司法書士は稼げるのでしょうか?

・・・絶対に稼げる!という保証はだれにもできませんが、じゃあ収入を得るのがそんなに難しい資格かといえば、筆者は「そうではない」と考えます。

勤務司法書士の場合

たとえば、勤務司法書士(サラリーマン司法書士)でしたら、事務所の規模や取り扱っている業務によりますが、司法書士の資格者にはしっかりした給料を出している事務所は、ていねいに探すとそれなりに存在しています。

求人案内は、「各県の司法書士会のホームページ」や「民間の転職エージェント」のホームページから情報を得ることができます。

最近は司法書士事務所を法人化して、「司法書士法人」という法人形態にしたうえで、複数の司法書士が所属しているような中規模、大規模の事務所も増えてきました。

筆者が司法書士試験に合格した年度(平成10年)の頃と比べても仕方がないのかもしれませんが、そんな私の目で見ても、近年はしっかりした給与を提示している事務所が増えている印象を持っています。

何が言いたいかといえば、「司法書士だからといって、何がなんでも独立開業する必要はない。」ということです。

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開業司法書士の場合

次に独立開業する場合です。

たとえば、「仕事をいただけるようなコネクションがない状態で独立開業」したような場合ですが、最初は仕事は少ないかもしれません。

ですが、お客さんを増やす営業活動を数年間おこなっていくと、徐々に「リピーター」になってくれる依頼者は増えてきます。

近隣へのご挨拶や、飛び込み営業だけではなく、「事務所のホームページ」を作ってそこから問い合わせを得ることもできます。

しっかりとしたホームページを作っている事務所って、意外と少ないんですよ。

あと、依頼いただいた仕事を真面目にきちんと行っていると、お客さんがまた別のお客さんをご紹介してくださることもあります。

そうやって仕事の依頼元とのコネクションを、雪だるま式に少しずつ大きくして自分の事務所を続けていくことができます。

ネットの口コミなんか見ていると「司法書士は食べていくことができない・・・」なんてことがよく書いてありますけど、それはほんの一部の方の意見に過ぎません。

ほかの一般的な業種・お店と比べると廃業率は低いですので、過度に恐れる必要はないです。

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仕事のやりがいは十分あります

司法書士は仕事のやりがいは十分にあります。間違いないです。

資格があれば、大手を振って「登記」とか「裁判所」の手続きのお手伝いを、業務としてできるようになります。

たとえば、「不動産登記」・「会社の登記」・「企業法務」・「成年後見人の申し立て」・「裁判業務」など、依頼者から頼られ、感謝される場面もたくさんあります。

「べつに、感謝の言葉がほしくて司法書士をやりたいわけじゃない!」という方もいるかもしれません。

ですが、業務のご依頼を受けて、その結果として感謝の言葉をかけていただけると、「司法書士をやってて良かったな」と、しみじみ感じる場面もあります。

司法書士は基本的には平和産業

あと、司法書士は「平和産業」です。争いごとのある案件はほとんど扱いません。仕事自体はわりと事務的なものが多めです。

同じ法律を扱う職業の中で、一番メジャーな「弁護士」という職業があります。

ご存知のとおり、弁護士さんが主に活躍する場所は「裁判所」です。これについて、ほとんどの方は異論がないはずです。

そして、裁判所でする手続きは「裁判」ですから、つまるところ「人と人との争いごと」を取り扱うことが多い、ということになります。

司法書士もある程度は裁判業務を取り扱うことはできますが、筆者も含めて良くも悪くも「登記業務」をメインにやってる司法書士が多いですから、紛争のある案件はほとんど扱うことがありません。

だから「平和産業」なのです。

というわけで、争いごとに首は突っ込みたくない方は、司法書士はおすすめの職業です。

リーガルテックの出現によって自分で登記する人が増えているのでは?

最近は、書類作成をしてくれるWebサービスが増えてきました。

ネットで登記について検索してみると、その手続きについて、たくさんの情報もあふれています。

ここ数年のお話ですが、法律(リーガル)とIT技術(テクノロジー)を組み合わせた「リーガルテック」と呼ばれる技術が現れてきました。

具体的に言うと、AIを使って自動的に契約書とか登記の申請書類なんかを作れるWebサービスが出現しています。

Webサービスの例
Webサービスを提供している会社の例

法務省は、民間企業による登記申請書類の自動作成サービスについて、今のところ特に問題にしていないようです。

でも実は、会社の登記では何年も前から、パソコンの画面上で穴埋め式で情報を入力して申請書を作ることができる有料サービスは存在しています。

最近のAIを使った書類作成サービスが出てくる、そのずっと前からです。

以前から存在する書類作成サービス会社
以前から存在する有料サービスの例

つまり、ネットで書類作成できるサービス自体は、今に始まったお話ではありません。

しかも、司法書士の仕事がWebサービスのせいで壊滅的になっているかと言えば、そんなことはありません。

国内の各地に存在する法務局の前に行きますと、「司法書士事務所」は何件も普通に営業してます。

会社の登記は、自分でする人が増えて依頼は減っているかもしれませんが、影響は限定的です。

なぜなら、司法書士事務所の収益構造をみると、不動産登記の業務の割合が大半だからです。

今後、不動産取引・不動産売買といった場面でも、登記の申請手続にリーガルテックが本格的に採用されるようなことがあると、司法書士への影響も大きくなるかもしれません。

ですが、技術的にはやろうと思えばできるとしても、業界全体でそのような動きはまだ見られません。

AIでは処理が難しい業務がたくさんあります

AIにやってもらうのが難しい業務はたくさんあります。

司法書士の仕事のメインは登記業務ですが、そこから枝葉を伸ばしてコンサルティング的な要素が入ってくる仕事になると、AIとかコンピューターのプログラムだけでは、まだこなせないものばかりです。

たとえば、「遺産相続業務」・「民事信託(家族信託)」・「成年後見業務」もそうですし、ちょっとした「法律相談」もそうです。

日々の生活や企業活動の中で、AIやネット情報だけでは十分に解決できないお悩みを抱えている人は、まだまだいます。これは私の実感としてもそんな感じですね。

あと、自分で登記するのが大変だったり、時間がなかったり 、ちょっと自信がないので、それで専門家に任せたいと思っている人はいっぱいいます。

もちろん、Webサービスを利用する人や、ネットの情報を見て自分で手続きする人は増えている事象については否定はできません。

ですが、

「司法書士に仕事を頼みたいという需要はまだまだありますし、司法書士の手助けを求めている人はいるんですよ。」

ということを、お伝えしておきたいと思います。

まとめ

というわけで、今回は、

の3つについてお話ししました。

最後までこの記事をご覧いただきましてありがとうございました。

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