司法書士試験の難易度を合格率のデータから徹底的に検証してみます
司法書士試験の難易度をはかる指標として「合格率」というものがあります。
司法書士という資格は独立開業もできる資格ということで、受験者は毎年1万人以上います。
でも、毎年の合格者は数百人にすぎませんので、そのため司法書士試験の難易度はとても高いように思えてきます。
今回のブログでは、司法書士試験の「合格率」という数字は一つではなく、データの読み方によって合格率は高くなることをお伝えします。
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この記事の筆者
司法書士事務所を開業して今年で10年経ちました。
日々の業務をおこなっていて、感じたこと考えたことをブログで述べています。
この記事の概要
出願者数ベースの合格率
司法書士試験の合格率ですが、「出願者数に対する合格率」はおおむね3%〜4%です。
たとえば、2021年度(令和3年度)の出願者数に対する合格率はおよそ4.08%になっています。
最近6年間の合格率の移り変わりをみますと、合格の難易度に変化が見られます。
毎年の合格率は3%代から4%代に少しだけあがっているようです。
年度 | 司法書士試験の出願者数 | 合格率 |
---|---|---|
2021年 | 14,998名 | 4.08% |
2020年 | 14,431名 | 4.12% |
2019年 | 16,811名 | 3.57% |
2018年 | 17,668名 | 3.51% |
2017年 | 18,831名 | 3.34% |
2016年 | 20,360名 | 3.24% |
ちなみに、司法書士試験は何点取ったから合格できるという試験ではありません。
試験を受ける人の成績上位者のうち、3〜4%くらいの方を合格させる試験ですので、出願者数が多くなっても少なくなっても合格者の割合はあまり変わらないのです。
つまり、出願者の数が増えても減っても、試験に合格するための難易度はほとんど変わらないのです。
このトピックでご紹介している合格率は、出願者全体に対する合格率になっていますので、合格率の数字としてはもっとも辛口の数字になっています。
でも、いろんな資格予備校のホームページとかインターネットの資格サイトを見ていると、合格率3〜4%という数字は、司法書士試験の合格率として一番多く紹介されている数字ではないかと思います。
さらにデータを掘り下げてみる
出願者数に対する合格率の数字をみてしまうと、「司法書士試験ってめちゃくちゃ難易度高めで、合格できそうな気がしないなあ」という感想を持つ人が多くなってしまいます。
ですが、もう少しデータを掘り下げて、違った見方をしてみると、実質的な合格率はどれくらいなのか確認することもできます。
違ったデータと言いますと、さらに2つあります。
この順番で、司法書士試験の合格率の数字はどんどん上がっていきます。
受験者数ベースの合格率
今度は、「受験者数に対する合格率」を見てみたいと思います。
受験者数というのは、願書を出しただけではなくて、実際に試験会場までやってきて試験を受けた人数のことです。
下記の表は、毎年の「出願者数」と「受験者数」の移り変わりの人数の表になっています。
出願者数と受験者数の推移
年 度 | 出願者数 | 受験者数 | 受験者数の割合 |
---|---|---|---|
2021年 | 14,998名 | 11,925名 | 79.51% |
2020年 | 14,431名 | 11,494名 | 79.64% |
2019年 | 16,811名 | 13,683名 | 81.39% |
2018年 | 17,668名 | 14,387名 | 81.42% |
2017年 | 18,831名 | 15,440名 | 81.99% |
2016年 | 20,360名 | 16,725名 | 82.14% |
出願者数のだいたい8割くらいの人が、試験会場にやってきて試験を受けていることがわかります。
ということは出願者のうちおよそ2割くらいの人は、受験の願書を出しただけか、あるいは試験時間の途中で帰ってしまった人になります。
このような受験をしていない人を除いた「受験者数に対する合格率」をみると、合格率の数字も少し変わったものになってきます。
2021年度の司法書士試験では、受験者ベースの合格率はおよそ5.14%になっています。出願者数ベース(およそ4.08%)より合格率が1ポイントくらいアップしてますね。
さらに、他の年度についても、受験者数ベースの合格率の移り変わりを見てみますと、最近6年間は、合格率は毎年軒並み4%を超えています。
2020年・2021年は、2年連続で合格率は5%台に乗っていますので、難易度に変化が少し見られます。
年度 | 司法書士試験の「受験者数」 | 合格率 |
---|---|---|
2021年 | 11,925名 | 5.14% |
2020年 | 11,494名 | 5.17% |
2019年 | 13,683名 | 4.39% |
2018年 | 14,387名 | 4.31% |
2017年 | 15,440名 | 4.07% |
2016年 | 16,725名 | 3.94% |
およそ5%ですから、きちんと司法書士試験を受験した人のうち20人に1人は合格していることになります。
どうでしょうか?司法書士試験で合格できそうな気になるでしょうか?それでも難易度高いなあと感じるでしょうか。
そこでもうひとつ、実質的な合格率と言えるのではないかと思われるデータもご紹介します。
実質的な合格率30%?
足切り基準点を通過した(と考えられる)受験者のデータです。
このデータから、択一式試験の足切り基準点を通過した(と思われる)受験者の合格率がおよそ30%であることがわかります。
ご存知の方もいると思いますが、司法書士試験の筆記試験には「択一式」と「記述式」の2種類の試験がありますが、それぞれの試験に足切り基準点がああります。
筆記試験で出題される、択一式のおよそ7割、記述式でおよそ5割ていどは正解できないと、それだけで足切りされて不合格になってしまいます。
その足切り基準を通過できた人のうち、さらに成績上位者が筆記試験の合格者となります。
それでは、足切り基準点を通過した人数はどこでわかるのか?というお話ですが、法務省が公表しているデータからおおよその推察ができるようになっています。
法務省のホームページの中に「司法書士試験のページ」がありますが、このページでは各年度の司法書士試験に関するいろいろな公式のお知らせや情報提供がされています。
各年度の司法書士試験に関するお知らせの中に「司法書士試験筆記試験(記述式問題)得点別員数表」という長いタイトルの表が公開されています。
これは、記述式試験受験者の得点分布がわかる表になっていますが、たとえば2021年度(令和3年度)の得点別員数表に載っているのは「2082人」だけとなっています。
2021年度の受験者数は1万1925人いるはずなのに、得点別員数表を見ると2082人しか載っていません。
これは筆者の推測になりますが、この2082人は択一式試験の足切り基準を通過できた人数ではないか?と考えたのです。
ちなみに、2021年度の司法書士試験の最終合格者は613人ですから、割合としてはおよそ30%になります(正確には29.44%)。
このことは過去の年度の試験結果を見ても共通した傾向となっています。
最近5年間のデータを見ますと、択一式の足切り基準を通過できた(と思われる)人数がおおむね2000人くらいで、そのうち最終合格者の数は600人台となっています。
というわけで、筆記試験の足切り基準点を通過できるくらいしっかり学習をしてきた人の合格率は、およそ30%と言えるのではないかと考えています。
まとめ
今回は「司法書士試験の難易度を合格率のデータから徹底的に検証する」というテーマで、
3つのお話をいたしました。
この記事を最後までお読みくださいましてありがとうございました。
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