サラリーマンが副業として司法書士はできるのか?
今回のテーマ
どうもこんにちは、諌山(いさやま)です。
今回は、サラリーマン(会社員)が副業として司法書士はできるのか?というテーマです。
司法書士を副業とする場合、その注意点も含めてお話しいたします。
記事を読んで分かること
この記事をお読みいただくと、司法書士の資格を持っているサラリーマン(会社員)が、副業として司法書士をする場合のコツがわかります。
司法書士だけではなく、ほかの士業の資格をお持ちの方も参考になるはずです。
私が司法書士試験に合格したのは、かなり前の1998年ですが、司法書士として開業したのは2010年です。
それまでは、司法書士となる資格を持ったまま会社勤め(サラリーマン)をしていました。
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この記事のポイントは以下のとおりです
早速、要点を列挙してみます。
その理由を解説しますが、その前に・・・
早速で申し訳ないのですが、いきなり副業で大金を稼ごうとは思わない方が良いです。
いろいろ抱え込んでしまって、本業であるサラリーマンの仕事に支障が出てしまうと大変なので、まずはできそうな範囲内で月数万円の収入を目指すことをおすすめします。
1.司法書士は時間の融通が効くので副業しやすい
司法書士は業務内容によっては時間の融通をつけやすいものもあるので、副業としてすることは十分に可能です。
ほかの資格を持っている方は、副業でどんな業務だったらできそうなのか、考えてみましょう。
副業でできそうな業務内容についてご紹介してみます。
副業でできそうな業務
一般的な法律相談
ちょっとした法律的な課題を相談できたらいいな、と思っている人は実は世の中にたくさんいます。
相談業務でしたらメールでもできるし、手が空いた時間帯に電話ですることもできます。
ご依頼者様との面談が必要な場合でも、たとえば土曜日や日曜日でしたら逆に相手方に喜ばれる場合もありますね。
司法書士として相談者に有益な情報提供ができる場合でしたら、予め報酬が発生することを告げて、タイムチャージ(1時間いくらのような決め方)で報酬をいただく方法もありです。
司法書士でしたら、30分の法律相談で5,000円くらいからでしょうか。
相続登記
登記の中でも不動産登記は、本気で取り組むと実は時間的に縛られるケースが多いです(たとえば、不動産売買の立ち会いとか)。
その中でも相続登記は、時間の制約があまりない場合がほとんどです。
作業内容も戸籍などの資料収集と、相続関係の確認が大半であることから、副業としてするには良いのではと思います。報酬もそれなりに取ることができます。
相続登記の報酬相場は、案件の難しさにもよりますが5〜6万円以上になることが多いです。
会社関連の書類作成
会社の議事録の作成方法や、株式を譲ったり譲り受けたりする場合の手続き方法とか、会社関連の書類作成上のお悩みはいろいろあります。
司法書士の主な業務の一つである、会社や法人の登記だけではなく周辺のお仕事も結構あるのです。
こういうのは無料相談で終わってしまうこともままあるのですが、実際に書類作成のような作業が必要な場合には、書類1通あたりいくらで報酬をいただける仕事ですよ。
専門家が書類作成するときは、A4サイズ1枚でも1通5,000円以上の報酬になることが通常です。
会社登記を受けたときは、役員変更で登記申請の代理と書類作成で、2万〜3万円程度になります。
実際には役員変更だけではなく、本店移転とか商号変更といった登記もあわせてご依頼を受けることがありますので、報酬が10万円近くになることもあります。
2.司法書士の登録と事務所が必要になる。
司法書士に限らず、士業全般にだいたい共通するお話ですね。
たとえば司法書士という名称を使って司法書士業務をするためには、司法書士試験にすでに合格していることはもちろんなのですが、そのうえで、司法書士として登録することも必要になります。
司法書士として登録するためには、事務所を置く場所を基準にして、司法書士会を経由して日本司法書士会連合会に登録申請をする必要があります。
登録申請すると、所属することになる司法書士会のエライ人との面接がおそらくあるはずですので、そこで業務体制についていろいろ聞かれると思います。
こればかりはきちんと答えられるように準備しておくことになります。
事務所の所在地は自宅にするのもあり
「事務所の所在地をどこにするのか?」
これは悩ましい問題かもしれません。
これについて私の意見は、「十分にランニングコスト以上の売り上げを出せるかどうかわからない段階で、オフィスを借りるのは若干リスクあり。」です。
そんなときは、自宅を事務所にするのもありです。
というか、専業の司法書士とか他の士業の方でも、自宅を事務所にしている人はたくさんいます。
士業をはじめるには入会金・会費が必要です
なお、司法書士の登録をするためには、入会金と月々の会費負担も発生します。
こちらも結構なランニングコストになりますので、あらかじめ司法書士会に確認しておいた方が良いです。
3.勤務先の就業規則によっては副業できない場合がある
近年は「働き方改革」を旗印として、サラリーマン(会社員)の多様な働き方を後押しする流れが鮮明になってきています。
厚生労働省が提示する「モデル就業規則」でも、副業を原則的に認める規定が盛り込まれています。
実際に副業を解禁している上場企業(ソフトバンク、リクルート、新生銀行など)も多数出てきています。
そんな世の中の流れではありますが、一番キモとなるのは「勤めている会社が副業OKの会社なのか?」というところです。
したがって、まずはお勤めの会社が副業を認めているかどうか確認することをおすすめします。
そして、無事副業が可能であったとしても
→ 副業先を会社に届け出る必要があったり、
→ 勤務先と競業するような業種はダメであったり、
→ 本業がおそろかになるような勤務時間の副業をするのはダメだったり、
副業をするための条件が定められていることがありますので、その条件も確認してください。
ただ、士業を副業にするのは、勤務時間外の時間の有効活用に過ぎませんし、勤務先の会社と業種がかぶることはあまりないはずです。
4.企業内司法書士という働き方
ここまでは、会社の勤務時間外で副業として司法書士をすることについて述べてきましたが、「それならば、企業内司法書士として活躍する方法はどうだろうか?」という考えが出てくることもあると思います。
企業内で働く司法書士でしたら、会社の中でも資格の専門性を生かしたお仕事ができそうですし、副業としても取り組みやすいですよね。
これは弁護士業界のお話になりますが、最近は企業内で働く弁護士の数も増えてきました。
企業内弁護士の数は約2400名です。
これは弁護士総数4万1000名の約5.9%にあたります。
(2019年6月現在)
ただし、これは弁護士業界のお話です。
正式登録した企業内司法書士は少ない
司法書士の場合はどうなのか?と言えば、平成29年に監督官庁である法務省からの回答が出ています。
カンタンに言えば、「ケースバイケース」という回答。
もう少し詳しい解答内容は以下のとおりです。
- 企業に所属していることを理由として司法書士の登録の拒否又は取消しをすることとはされていません。
- ただし、司法書士には事務所の設置義務及び依頼に応ずる義務が課せられています。
- (その他にもいろいろ義務はありますが、)これらの義務は、司法書士が企業に所属している場合でも課せられるものです。
- これらの義務を遵守できなくなるなどの事情がある場合には、登録を拒否され又は取り消されることもあるものと考えられます。
ご参考:「規制改革ホットライン」で受け付けた提案及び所管省庁からの回答について
・・・これってどうなんでしょうか?
一概にダメと言うわけではないですが、おしなべてOKでもないみたいです。
一番のポイントは司法書士は事務所を設置して、依頼に応じる義務があるので、それらの義務をきちんと果たせるか?というところです。
現状としては、司法書士試験は合格しているけど、未登録のまま企業内で、司法書士試験などで得られた知識を生かして仕事をしている---そのような方が多いのではないかと思います。
まだまだ企業内司法書士(登録した司法書士)という働き方は一般的ではないように感じられます。
ご参考:日本組織内司法書士協会HP
ちょっと長くなりましたが、これは企業内司法書士として働く場合についてのお話ですので、副業とはちょっと違った話になります。
筆者の場合はどうだったか
だいぶん前になりますが、私が会社員をしていた時期は、未登録のまま会社に勤めていました。
勤務していたのは、法務省の認可を得て営業している債権回収会社(いわゆる「サービサー」)でした。
債権回収会社では、主に銀行などの金融機関から貸付金の債権を買い取ってきて、回収するお仕事をやっていました。
貸付金の担保となっている不動産を差し押さえたりする裁判手続きも日常茶飯事でしたので、司法書士試験で得られた知識はかなり活かすことができましたし、会社から裁判や登記を依頼していた弁護士や司法書士の先生とのお話しも進めやすかったです。
なんでも学んだことや経験したことは無駄にならないですね。
5.実務はどうやって覚えれば良いのか?
さて、ここまでは勤務先との関係で副業ができるのか?というテーマについてお話ししてきましたが、「実際問題どうやって実務を覚えるのか?」という問題も出てくると思います。
一番の解決策は、司法書士事務所に一度は勤務して、司法書士事務所のナマの実務を経験できればいいのですが、すでに他のお仕事をフルタイムでやっている方はそうもいきません。
ですが、それほど心配しなくても大丈夫です。
これは一つの考え方になりますが、司法書士は何もかも経験済みでお客様のご依頼に対処しているわけではありません。
必要に応じて調べたり、実務書を読んだり、それでもわからなければあちこちに聞いて回ったりして、お客様の相談について解決策を出していることが多々あります。
そうなりますと現実的な対応策は、以下のようになると思います。
- 調べることを面倒くさがらない
- 書籍(実務書)に投資を惜しまない
- 相談できるメンター(できればお知り合いの司法書士)の存在
これらの現実的な対応策について、もう少しだけ解説いたします。(↓)
調べることを面倒くさがらない
「調べることを面倒くさがらない」というのは、自分で調べて自分で解決策を見つけ出すことです。
依頼者に、的確なアドバイスができるようになるためには、必須の作業になります。
自分で調べることをはぶいて、人に聞いてばかりだと、士業としての実力はついてこないと思います。
書籍(実務書)に投資を惜しまない
「書籍への投資を惜しまない・ケチらない」というのは、仕事の効率性に直結してきます。
最近は、インターネットで検索して得られる情報もけっこうありますし、私もネットで検索して調べることは日常的におこなっています。
ですが、ネットで公開されている情報は、一般の方に向けた情報が多いことから、あなたの知りたい深い情報があまり載っていません。
司法書士は書類作成をする機会がめちゃくちゃ多いですから、書類のひな型やモデルとなる文例がそろっていると、仕事がはかどります。
ですから、あなたが司法書士としておこなう業務に応じて、実務書はケチらずにそろえたほうが良いですよ、ということです。
相談できるメンターの存在
「相談できるメンター」というのは、簡単にいえば、あなたの相談相手になる同業者のことです。
できれば、それなりに業務経験を積んでいる同業者を見つけておくと、いざというときに助かるはずです。
もちろん、いつも頼ってばかりだとその同業者の方も、「相手にするのが面倒だな・・」と思うかもしれませんので、使いすぎに注意しましょう。
あくまでも、いざというときに相談できる同業者を見つけておきましょう、仲良くなっておきましょう、ということですね。
最後にまとめ
というわけで最後にまとめてみたいと思います。
- 時間の融通が効くので副業しやすい
- ただし本業(勤務先)との兼ね合いで、受けられる仕事内容もできれば時間の融通が効くもの中心にしましょう。
- ただし本業(勤務先)との兼ね合いで、受けられる仕事内容もできれば時間の融通が効くもの中心にしましょう。
- 司法書士の登録と事務所が必要になる。
- 差し支えがなければ、事務所は自宅でも構いません。士業登録していると毎月の会費がかかりますので、ランニングコストは少ない方が良いです。
- 差し支えがなければ、事務所は自宅でも構いません。士業登録していると毎月の会費がかかりますので、ランニングコストは少ない方が良いです。
- 勤務先の就業規則によっては副業できない場合がある
- 副業はお勤めの会社の規則にしたがって、本業に差し障りがない程度にしましょう。
- 副業はお勤めの会社の規則にしたがって、本業に差し障りがない程度にしましょう。
- 企業内司法書士という働き方
- 司法書士試験で得た知識を活かして企業内で働いている方はたくさんいます。
- 司法書士試験で得た知識を活かして企業内で働いている方はたくさんいます。
- 実務はどうやって覚えれば良いのか?
- 必要に応じて調べたり、聞いたりする方法でOK。
ありがとうございました。
働き方改革によって、テレワークなど働き方の自由化がだんだんと浸透しています。
勤務時間外で空いた時間で副業をしてみて、そこで得られた経験や知識をサラリーマンとしての本業にフィードバックしていくことで、本業と副業でプラスの相乗効果も期待できます。
せっかくもっている資格があるのでしたら、少し考えを巡らして、自分でコントロールできる副業をもってみるのも良い経験になるうえに、副収入につながりましたら、こんなに良いことはないですよね。
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最後まで記事をご覧いただきましてありがとうございました。
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